兵どもが夢の跡、
源氏と平家の戦いの舞台になった高松市の屋島には、
かって観光が盛んだった頃の名残、
『甚五郎』というホテルの廃墟が残されています。
第84番札所の近くで屋島ドライブウェイで行くことができるせいか、
外観からは想像できないほど、
入ってすぐの1Fエントランスなどかなり荒れています。
備え付けの冷蔵庫のなかに、
廃業当時のジュースやビールなどが残っている客室などは、
ちょっとした手直しですぐに使えそうなほどキレイで、
その印象の違いはなんとも言えない独特のものだったそうです。
これは知り合いのAくんから聞いた話なのですが、
夏休みを利用した旅行で四国を訪れたAくん達は、
普通の観光の間にこういう廃墟にも立ち寄るようにしていて、
メンバーも廃墟好きの3グループ合同というものでした。
旅行の最終日、ホテル甚五郎を見て回ったAくん達が
1Fのエントランスに戻って来て、ホテルから出ようとすると、
Aくんとは別グループのBさんがフロント横にある階段の先を
見つめていたそうです。
「Bさんどうかしたんです」
声をかけても、
Bさんは心ここにあらずといった感じで、
なんでもないですと言いながら、
ホテルを出るまでに何度か階段をチラッと見ていて、
様子がおかしいのは明らかでした。
このことが引っかかっていたAくんが、
後日あらためて話しを聞くと、
Bさんはなんともいえない表情で、
人の姿を見たと話しだしたのだそうです。
Bさんが見た人はいつの間にかソコにあらわれた、
階段の奥へ進む人の後ろ姿だったのですが、
全身が見えないとおかしいのに、
その人の後ろ姿は上半身だけしか見えなかったのだそうです。
ホテル廃業がバブル崩壊のあおりを受けた2000年の始めごろなのですが、
客室にジュースやビールなどが残されていたり、
フロントに鍵など物が色々と残されていたりで、
急に営業をやめたようなありさまで。
因縁だとか曰くといった言葉がシックリとくるのも、
源平合戦ゆかりの屋島という場所で札所の近くにある、
ホテル甚五郎だからなのかもしれません。
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