千葉県南房総市に八束という地区があります。以前はとなりの村へと繋がる唯一の道だったそうです。山を切り崩しその道を作るのは非常に大変で、かなりの数の死傷者を出したそうです。
現在は国道が出来た為、地元の住人しか使っていません。トンネルまでは、はじめは田園地帯が広がりのどかですが徐々に山道へと入って行きます。木は生い茂り民家もなくなり、街頭の数も次第に減っていきます。
山頂付近に近づく頃急にトンネルが現れます。辺りは真っ暗。先の見えない岩肌が露骨出ている全長50メートル位のトンネルです。もちろん街頭もなく車1台通れる位の大昔に作ったとすぐに分かる不気味な雰囲気が体で感じ通れるようなトンネルです。
ある時夜の12時、1台の若いカップルの乗った車がそのトンネルを通ったそうです。ちょうどトンネルの中盤にさしかかった頃、運転をしていた男が対向車が来ないようにクラクションを3回鳴らしたそうです。そしてトンネルを過ぎホッとして隣の女に話しかけました。
「良かったね、ちょっと怖かったね・・・ねぇ聞いてる?」返事がありません。
不信に思った男が横を見ると、さっきまで乗っていた女がいなかったそうです。怖くなった男は急いでUターンしようと思いましたが、道が狭くUターンすら出来ず山道をそのまま降りざるを得なかったそうです。
山のふもとまできて1台ブランコがあります。ブランコが揺れている。男が目を凝らし良く見ると・・・さっきまで横に乗っていた女がブランコに乗っていたそうです。
急いで女を車にのせ、帰宅した後そのトンネルの事を男は地元の住人に聞きに行ったそうです。地元の住人は渋々トンネルを作っていた大昔の話をしてくれたそうです。
「昔トンネルを作っていた時落盤事故がおこり、1人の男が下敷きになった。下敷きになった男は力を振り絞り、手元にあった石を3個投げた。男には娘が一人山のふもとにあった家で、いつもブランコに乗って父の帰りを待っていた。父が死んだあともずっと娘はブランコに乗って帰りを待っていた。」と。
それ以降、トンネル内で3回音を鳴らすと奇妙な事がおこるようになり、地元の住人でさえトンネル内ではクラクションは一切使わないそうです。
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