青い水平線と緑の芝が広がる犬田布岬の先端
石灰岩が侵食されてできた断崖には、
大きな慰霊碑がたっています。

両脇に船のイカリが置かれたこの慰霊碑は、
海に沈んだ戦艦『大和』を中心とした艦隊への慰霊碑で、
慰霊碑には、国を護るために戦った兵士への
哀悼の言葉が刻まれています。

沖縄に行き、
浅瀬に乗り上げて砲台になれ。

生きて戻ることのない特攻のための出撃でしたが、
大和を中心にした艦隊は目的地に着く前にアメリカ軍と遭遇、
約3000人の犠牲者と一緒に海の底に沈んでしまいました。

友人との旅行で犬田布岬へ行って、
そろそろ移動しようかってなったとき、
いつの間にか友人Hが断崖の端でずっと海を眺めていて。

おいHと呼んでも無視で、
意味がわからんと思いながらHの肩をつかむと。

開いた口からヨダレを垂らしながら、
まるで夢を見ているような、
心がどこかにいった顔をHがしていた
のです。

離れたところにいた友人たちも、
私が急にHの顔をはたいたから集まってきて、
こっちはすごい緊張感につつまれているのに、
Hは何がおきたのかわからずポカンとした顔で。

ボーっとしていただけだって、
そういわれても、
こっちの不安は少しもなくなりません。

だって、
ここは戦艦大和の沈んだ海ではないんです。

戦後の情報不足のときに、
犬田布岬の沖が沈没した場所だと言われていましたが、
その後いろいろなことがわかってきて、
大和が別の場所に沈んだことはハッキリとしていて。

海に沈んだ犠牲者がいないのに、
Hはどんな景色を犬田布岬からみていたのでしょうか。

ここは奄美諸島の徳之島の南西部、
琉球石灰が侵食されて生まれた断崖、
二十四番拝所。

慰霊碑の隣にある地蔵には、
この場所がこの地方の神聖な場所、
拝所(うがん)だと刻まれています。

それからHの様子に変わったところがないので、
私の不安が気にしすぎで済んだことは良かったと思います。

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