超有名な心霊スポットに狙って肝試しに行ったが、
僕らは思わぬ展開となり恐怖を背負うことになってしまった。

それは今から5年前のこと。

秦野市内にある国道246号線からラブホテル街に入った
「旧善波トンネル」での心霊体験は有名な話だ。

当初は廃墟と化した「ホテルすかいらぶ」が危ないとの噂に、
仲間5人(男4人、女性1人)で車2台を出し、
トンネルではなくその「ホテルすかいらぶ」へと向った。

実はこの辺りは僕の親父も肝試しをしたことがあると言う。
もう20年以上前のことになるが「かだん」というホテルが廃墟となり、
その後は心中した男女が居る噂があとを絶たなかったようだ。

その日の時刻は丑三つ時。

現場近くではその場の雰囲気で
旧善波トンネルではそれなりに盛り上がった。

でも今回は手招きする準一君は目的ではない。
緊張と不安の中で通り抜けたトンネルからは
ラブホテルのネオンが妙に不気味さを感じさせる。
性欲が沸く人なんているのだろうかと思うくらいだ。

正確にはその場所がどこかは知らずホテル街に入ったわけだが、
聞いていた噂の「ホテルすかいらぶ」の場所がどこかは一瞬にしてわかった。

ネオンの光は目に入る。

でもその廃墟一体には光が届かないせいで闇と化している。
建屋の雰囲気は暗闇にまだ目が慣れていないせいか、
ぼんやりとしていてディテールはよくわからない。
僕らはその光と闇の境に車を止めた。

前方のRX7からは職場の先輩と同僚が降りてきた。
僕が乗せてもらっていた180SXには車の持ち主である同僚と、
後輩にあたる女性1人。僕ら5人は車から降りてホテルを眺めた。

正直嫌な雰囲気しか感じない。

だけど僕らはそれぞれ心霊現象みたいなものが大好きで、
まだ一度も行ったことがないなんてつまらないことを言う人とは違う。
それなりに信頼できる仲間だった。

でもこれから先思わぬ展開になるなんてことは誰も想像はしていなかっただろう。

僕は「ホテルすかいらぶ」を眺めみんなに言った。

「なんかヤバイ気がする」と。
そういう場で強がる人は1人は必ずいる。
でも今回来てくれた後輩女性は僕に共感をしてくれた。

ホソノ(仮名)には霊感があると理由で誘ってみたわけだが、彼女は言う…
「私もやめた方がいいと思う。ここは危ない気がするよ」

先輩はそのやり取りにニヤケ顔を浮かべながら
その場の雰囲気を楽しんでるようだ。

同僚1人がとにかく行ってみようと強気で歩き始め、みんなで並んで歩いた。
その後ホテルに近づいた全員が同じ反応をして猛ダッシュで車に戻る…。

それは1人が声をあげて驚いたからではない。
みんな同じものを見てしまったんだ。

2階窓から男の人がこっちを見ていたとみんが同じことを言う。

それは遠めではカーテンだろうと近づいていたが、
振り返ってこちらをみた男性っぽい人間に全員が驚いてしまったんだ。

そしてホソノがまた口を開いた。
「だからやめた方が良いって言ったんだよ」

だがそんな声を聞こうとしないのは同僚だった。
「中に入らないとここからじゃよくわからないし、もう一度行こうよ!」

同僚は張り切るが、はっきり言って場の雰囲気は最悪だ。
肝試しと言うより心霊現象を見てしまったのだから。

余程さっきのことが恐怖に感じたのだろう。
張り切る同僚とニヤける先輩以外は盛り下がってしまっている。

でもせっかく来たから言う先輩のひと声にみんなはもう一度並んで向かった。
僕はそのときわりと平気だったのでホテルの入口までなんとか辿り着けた。

他は後ろで待機して今自分1人だというのは振り向かないでもわかる。

そして扉のないホテルの入口を目の前にし、
入ろうとするその瞬間ホソノが走ってきた。

「やめた方が良い!!2階の男がいなくなった!下に降りてくるかも!」と…

身の毛がよだつというのはどういう状態のことかはっきり実感できた。
このことにみんな車に急いで乗り込み「ホテルすかいらぶ」をあとにした。

国道246号線に出た僕らは、先輩が乗るRX7について走った。
あとから聞くと先輩はそれ程怖くはなかったようで、
せっかく来たしドライブして帰りたかったらしい。

先輩はヤビツ峠へと向かい、
同僚が運転をする180SXには僕とホソノが乗っていた。

やがて峠を走っているとホソノの様子がおかしくなってきたことに僕は気づいた。

助手席にいる僕はその様子を同僚に伝え、
後ろに乗るホソノの横に座るため車を止めてもらった。

「大丈夫か?」

恐る恐るホソノに声をかけるが、その時彼女は既に目を閉じていた。
嫌な雰囲気を抱えたまま、車は山を登り始めた。

車はテクノミュージックが流れている…。

僕はしばらくしてもう一度ホソノに声をかけた。
「大丈夫か?」
「…。」

返答はない。
寝ているようにも見えるが、それにしては寝苦しい様子にも見えた。
力が入ってる様子にもみえたので僕はホソノの手を握ってみた。すると…

握りこぶしの手が石のように硬く冷たくなり、
僕の力でも抑えきれないほど震え始めた。
僕は驚き運転してる彼にその様子を伝えた。

「ホソノがヤバイぞ!」

ホソノの手を彼に触れさせた。
彼も驚いたがもう車を止めるのが怖くなったんだろう。
どうしようと言うだけで車は走り続けた。

テクノミュージックのリズムが不思議と恐怖を高める。
男性DJがMCをしていた…そしてホソノも何か僕に伝えようと口を開く。
すると女か男の声かわからない声がスピーカーから聴こえてきた。

ホソノ「だからやめた方が良いって言ったんだよ」
男性「だからやめた方が良いって言ったんだよ」

ホソノの声と男性と思わせるような声が二重音声になって聴こえてきたんだ。

運転している同僚も同じように聞こえた。
無理矢理車を止めさせホソノを外に出し、彼女は地面に倒れこみ嘔吐した。

しばらくして震えは落ち着いたが、僕らは先輩の車にはついて行かず、
まだ青白い顔色のまま寝込んでしまっている彼女を家まで送ることにした。

彼女は翌日以降お祓いにいったようだが地縛霊を呼んでしまったらしい。
だけどその連絡のみで職場は依願退職し、その後は音信不通となってしまっている。

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