周遍寺は昼間でも気味が悪いと聞いていたのに、
県道79号線には案内の標識が出ていて、
山道を進んだ先に見えたのは
真新しい赤いのぼりが立つ階段でした。

私たちは周遍寺を目指していたはずなのに、
たどり着いたのはシミひとつない白い石階段に、
木の香りがまだ残る鐘つき堂のある、
すがすがしい雰囲気のお寺
でした。

石階段は落ち葉に埋もれ、
草木に覆われて昼間でも陰鬱としていたときに訪れ、
この場所はヤバイと言ってすすめてきた友人は、
変貌した周遍寺にただあぜんとしていました。

管理する人がいなくなり年月を経た周遍寺は、
荒れるに任せて幽霊が出ると言われていました。

ところが、人手が入ったことでその景色は一変してしまいます。

陰鬱とした雰囲気を作っていた草木は刈られてしまい、
開放的になった山はすがすがしい風が流れ、
見晴らしのいい展望広場などが設けられています。

予定は変わってしまいましたが、
お堂自体は歴史を感じる古い造りで、
お寺の裏山を散策するとかなりの年月が過ぎた小さな祠があり、
見どころの多いお寺だなと思っていました。

あの人近所の人なのかな
「ほら、駐車場に乗り物がないから歩いて来たのかと」

友人は私たちのほかににいた、お堂を横の方からじっと見ていた、
20代のメガネの男のことだと言うのですが、
そんな人を私たちは見ていませんでした。

駐車場には私達の車しかありませんし、
お寺に戻って確認しましたが、
山門から見える範囲に人の姿は見えませんでした。

私も山の中をおじさんが歩いているのを見て、
「おじさんが歩いてる」と友人に声をかけている間に見えなくなっていて、
近所の人が山菜取りでもしていたのだろうと思っていました。
別の友人もモンペ姿のおばあさんを見ているのですが、
そんなおばあちゃんを見たのはその友人だけでした。

こうしてきれいになったお寺ですから、
人の姿があっても不思議ではありませんが、
本当にそんな人がいたのか、
私たちはモヤモヤとした疑問を持ったまま帰るしかありませんでした。

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