〒861-1313 熊本県菊池市出田483−1 JAカントリーエレベーター

今から約五年程前でしょうか、私はトレイルランニングが趣味で
いつも熊本県観音岳小岱山)の登山コースを練習場所にしていました。

ある日仲間がいつもと違うところで練習しようと
いつもの練習コースを遠回りする形で山道を走っていました。

いつもは整備された登山道を走る私ですが、整備の行き届いていない
あぜ道でしたので怪我だけは気を付けようとペースを落としていました。

するといつの間にか整備された道路に戻ってしまい、
仲間と元ルートへ戻ることにしました。

元ルートに戻る途中、仲間が突然立ち止まり、
「ここからまた登ろう」と言い始めました。

そこは野生動物が歩いたあとがあるだけのけもの道、
時刻は夕方ということもあり、やめようと説得したのですが、
なぜか突然何かが乗り移ったかのように元気になる仲間、
私は仕方なく同行することに。

けもの道を進んで五分程経過した頃山道の中にぽつんと開けた場所があり、
そこには大きな岩の上に観音様の像が立っていました。

景色も薄暗くなり、その観音様があまりに不気味で見ていると
何かすいこまれそうな感じがしました。

すると突然上半身裸のぼろぼろのズボンをはいた泥まみれの男が岩の中から現れ、
何かを伝えようと口をパクパクさせていました。

その男と目が合っている間、私はだんだんと肩が重くなり、
身動きが取れませんでした。15分位はあったかと思います。

すると仲間がど「どうしたの?」と肩をたたきました。

私は事情を説明すると、仲間には男の姿など見えておらず、
一言「疲れてるんじゃない?時計見て?」と言われ
時計を見せてもらうと私は目を疑いました。

観音様の前に着いた時間から1分も経っていなかったのです。
私は冷や汗がダラダラと流れ息が荒れました。

体調が悪くなった私を気遣い仲間は戻ろうかと手を引いてくれました。

自宅へ帰りパソコンでランニングコースを確認してみると
私達が辿り着いた場所は第二次世界大戦中に
中国から熊本の炭鉱へ強制労働者として連れてこられた
中国人の方々の鎮魂を目的に建てられたもの
で、
三池炭鉱中国人殉難者慰霊塔と呼ばれている場所だとわかりました。

あの時私の目の前に現れた男は助けを求めさまよう
中国人労働者の魂だったのかもしれません。

一生忘れられない不思議な出来事でした。

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