高校卒業以来、約半年ぶりに友人と会ったときの話です。
お互い県外の大学に通っていたので、地元の友人宅で遊ぶことになりました。

友人宅は母校の近く、高知県高知市朝倉の土佐道路近辺です。
しばらくはお菓子などを食べながら近況を報告したり、懐古話をしていました。

しかし夜も更けてすることもなくなり、
懐古話にも出てきた荒倉霊園にでも行ってみるかという流れになりました。

友人宅からは自転車で向かいました。

まず土佐道路を西(南?)に向かい、
荒倉トンネルを抜け少し登ると荒倉霊園があります。
地理的には霊園はちょうど荒倉トンネルの上に位置しています。

母校に通っていた時から、荒倉トンネル付近の怪談話は多少有名でした。

トンネルを自転車で抜けようとすると後ろから自転車のベルで煽られる。
道を譲っても抜かさないので振り返ると誰もいない。
しかしトンネルを抜けるとベルの音は止む。

または、車の走行音はするが姿はないだとか、
昔死亡事故があってその霊が出るだとか。いくつかあったように思います。

怪談話は好きですが直接自分が体験したことはないので、
これらの話は眉唾だと思っていました。

実際この時も、二人自転車で
夜中の荒倉トンネルを抜けたわけですが何も見ませんでした。

湿気はすごかったですが。

自転車で十分ほど走り、トンネルを抜けると自転車を脇に停めました。
歩いて坂を登り、霊園に入ります。

しかし初めて訪れた霊園は意外に広く、
霊園内のどの場所を目指せばいいのかはわかりませんでした。

とりあえず月明かりを頼りに眺めの良さそうな場所に座り、雑談を始めました。

とにかく気分を出そうと、お互いに知っている怪談話や、
怖い話なんかをしていたと思います。

しばらく座って話していた時、遠く物音が聞こえました。
会話が止まります。ドキッとしました。

風ではないようです。もっと質量のある物音でした。
何か生き物、例えば猫とかが草むらにでもいるのかと思いました。

しばらく二人で黙って耳を澄ましました。
やはり物音が聞こえます。近づいている気がします。

辺りを見回しましたが暗闇で何も見えません。
かなり怖かったです。

たぶん、人の足音でした。少なくとも自分には誰かが歩いてきてるように聞こえます。

時間は夜中の二時を過ぎています。
僕は友人に「もう行こう」と促しました。

しかし彼は見極めようとしているようでした。
この友人は高校の時から、よく無茶をするタイプでした。

いつもなら多少の無茶には付き合って一緒に楽しむのですが、
今はそうはいきません。僕は完全にビビっています。

何とか強引に友人を引っ張り、音から離れるように坂を下りました。
霊園を出て、自転車に乗り、トンネルを抜けて友人宅に戻りました。

コンビニの明りを見て凄くほっとしたことを今もよく覚えています。

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