斜里郡小清水町、
濤沸湖(とうふつこ)からオホーツク海までの
細長い砂丘にある小清水原生花園の一帯では、
海流の関係で海から漂流物が運ばれてきます。
咲く花が夏に彩りを添える、
気持ちのよい海岸ではありますが、
外国の言葉で書かれたお菓子の袋などが運ばれているときもあり、
ときに目をそむけたくなる光景になることもあります。
1983年、乗客を乗せた大韓航空007便が撃墜されたとき、
この小清水海岸にも残骸と一緒に犠牲者の方々が運ばれてきましたが、
それは人の姿を残していなかったのだそうです。
海の犠牲者だけではなく、
ずっと昔からクジラのような海の大型生物の骨が運ばれている。
そんな場所だからこそ、
海岸沿いをはしる国道244号線から、
海の上に赤い光が揺れているのが見えた、
そんな風にいわれているのだと思います。
心霊特集がTVではじまると、
母が小清水原生花園で心霊写真が撮れたといい、
父が気持ち悪いことを思い出すなと答える。
そんなやり取りが、
私がまだ子供だった頃のお決まりでした。
その写真は海を背景に撮影された、
母を含む数人が並んだグループ写真で、
向かって左端に立つAさんの膝あたりに、
正体不明の手が写っていたのだそうです。
写真を撮影したのは父で、
仕事の組合で行った旅行での一枚は、
縁起でもないとすぐに処分されたと聞いています。
私が成長するにしたがって、
そういう番組を見ることがなくなると、
両親のやり取りを聞くこともなくなりましたが。
Aさんはそれから仕事がうまくいかず、
親類をたよって引っ越しをされたらしく、
両親はAさんのことをときどき思い出しては気にかけています。
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