〒605-0941 京都府京都市東山区三十三間堂廻リ657
JR京都駅の東、
三十三間堂の隣にある養源院での話です。
養源院の天井に張られた板にはシミが目立ち、
よく見ると手や足の形をしているものがあります。
これは年月を重ねてついたシミが、
たまたまそういう風に見えるのではなく、
本当に人の手や足の跡なのです。
それは関ケ原の合戦の前にさかのぼります。
徳川方の伏見城が豊臣方に攻められ、
伏見城を任された鳥居元忠の運命は風前の灯でした。
元忠は380人の家臣と「中の御殿」に集まり、
敵の手にかかる前に全員が自刃。
手や足の跡はこの時についたもので、
大量の血が染み込んだ「中の御殿」の床板は、
洗っても削ってもシミがとれなくなっていました。
関ケ原の合戦の後、
無念の自刃をした元忠たちを供養するために養源院が建てられ、
天井には血がとれなくなった床板が利用されることになります。
この床板は『血天井』として、
養源院の見どころの一つになっています。
友人と京都旅行に訪れた際、
私たちが養源院に入るときに女性とすれ違いました。
私には一人しか見えなかったのに、
友人には後からついてきた男性が見えたというのです。
あまりにも情けない表情をしていたから、
彼女とケンカをしたのかと思ったらしいのですが、
それを宿で食事をしているときに話題に出すからもう大変です。
私たちにも養源院で幽霊がついたかもしれない、
子供がじっとこっちを見ていたのはもしかして、
旅の思い出がどんどん嫌な出来事に変わっていきます。
「今も幽霊と一緒にいるってこと?」
養源院の後に、
お寺とかにも行ったから大丈夫だろうと言ったものの、
内心は不安でいっぱいです。
結局、金縛りとかそういったことは起きなかったのですが、
私たちは寝ることができませんでした。
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