黒森山は盛岡市と紫波町の堺にある山で、
有名な心霊話がある山です。
家族でキャンプに訪れた幼い姉妹が森に迷い込んでしまい、
捜索隊が姉妹を見つけたときには腐敗が進んだ状態で、
それから黒森山のふもとの神社では、
姉妹の幽霊が腐敗した姿で現れると言われています。
幼い姉妹の事件とは別に、
黒森山には登山用の入口が幾つかあり、
登山中の遭難事故が起きたこともあるようです。
大学の美術科で作られたオブジェが置かれた、
万寿抗跡のある登山口以外は、
慣れていないと道がわからなくなると聞いています。
私が黒森山を登っていたときに、
道から随分と外れた場所に蛍光イエローを見つけたことがあり、
その場にじっとして動かないのを見て、
ただ事ではないと思った私は登山道を飛び出しました。
蛍光イエローに近づくと、
それは登山ウエアを着た人で、
その人は木に寄りかかって座ったまま、
動く気配が全くありません。
私は声を出しながら足場の悪いところを迂回して、
位置を確認するとさっきまで見えていた人の姿は消えていました。
さっきまで頭に集まっていた血はスーッと引いていって、
登山道に戻るあいだ何度もあたりを見たのですが、
そのあたりにいたのは私一人だけでした。
山では不可解なことが起こるとか、
遭難者の幽霊はよく聞く話なので、
私が見たのもそういう類のものなのだと思います。
黒森山は黒森大権現が祀られた神聖な場所で、
登山道の近くにはクマのフンがあるようなところなので、
夜の肝試しはおすすめできません。
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