磐梯熱海(ばんだいあたみ)駅から北西に道なりに進むと、
総合病院の手前に廃墟があるのが見えてきます。

隣には温泉街らしく宿泊施設が建ち、
この廃墟ももともとは温泉客が宿泊していたホテルで、
営業時には「河鹿荘」と呼ばれていました。

雑草に覆われた建物は不気味な気配が濃くて、
多くの人が訪れる肝試しスポットでした。

そんな河鹿荘で、
2010年12月20日に事件が起こります。

肝試しに訪れた男性2人が死体を発見

警察の調査で死体は本宮在住の中年女性とわかり、
死因は自殺だったと地元新聞などで取り上げられていました。

その事件からかなりの時間が過ぎたころ。

私は友人たちと久しぶりに集まって酒が入った事も手伝い、
友人の運転で河鹿荘に行ったのですが。

警察の立ち入り禁止のテープが残っていたらどうする?

なんて言っていたあたりがテンションのピークで、
実際に見た河鹿荘の雰囲気と、
この場所で死体が発見されたことを思い出すと、
男が並んで廃墟を見上げたまま立ちつくします。

酒の力でここまで来たはいいものの、
酔と一緒に気持ちも抜けていて。

私は本当に人が死んでいた場所に入るほど心は強くなく、
ここまで来れば十分だと思っていました。

全員同じように思っていたみたいで、
じゃあ帰るかと車へ移動を始めたときです。

友人の一人が間延びしたため息のような声を聞いたと言い出して。

気のせいだと言いながら、
中に入らなくてよかったと思いながら、
私達は早歩きになっていました。

確かめようのないウワサ話がある廃墟とは違う。
私にとっての河鹿荘はそんな場所です。

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