〒370-0615 群馬県邑楽郡邑楽町篠塚
クリスタルハウスは
東武小泉線「東小泉」駅と「篠塚」駅の間にある廃墟で、
一見するとビニールハウスのような小屋です。
元は全面ガラスで覆われていましたが、
今は枠だけが残った状態で放置されています。
小屋の中にはひっくり返ったピアノが置いてあり、
何かしらアート的な作品の雰囲気が強いですが、
いつ何のために建てられたのかは不明です。
その外見からクリスタルハウスと呼ばれています。
誘拐された女の子の死体を隠すのにこの場所が使われたというウワサがあり、
誰も鍵盤に触れないのにビアノの音が聞こえてくると言われています。
友人Kの車で私たちは肝試しに出かけたのですが、
クリスタルハウスに行く途中の車内にピアノの音が響いて、
なんか聞こえるぞって車内の空気が変わったのです。
実は車のステレオがCDだけしか音が出せなくなくなっていて、
しばらく無音が続いたあとにピアノソロから始まる曲が始まっただけで、
それまでアイドルグループのCDがずっと流れていたのですが、
タイプが違うCDに変わっていたのを知らない私達が驚いたのが事の真相でした。
「どうせそのうち車を買い換えるからこのままにしてるんだ」
「この車が心霊スポットかとおもったわ」
そんな感じでCDをBGMにしてワイワイしながら、
私たちはクリスタルハウスの近くまでくると、
車のライトの先に骨組みみたいな建物が見えてきました。
ビニールのないビニールハウスのような建物の中に、
聞いたとおりにピアノがひっくり返っているのを確認してから、
少し進んだところで車を止めました。
よし行くぞと車を降りようとしたら、
運転していたKが私達を引き止めます。
「あのさ、さっき建物が見えた時に、歌詞の間で悲鳴みたいなの聞こえなかった?」
「そうだっけ?」
「あったあった。何、この辺りでかかるようにして狙ってたの?」
「こんな場所だからちょっとビクリしたわ」
「違う……あの曲にあんな音入ってないんだ」
勘違いだろうとか少し揉めたんですが、
全員肝試しをするような気分はなくなっていて。
結局私たちは車から降りることもなく、
重苦しい空気のままクリスタルハウスから遠ざかりました。
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