〒400-1214 山梨県甲府市高成町
これは甲府にある景勝地、
昇仙峡(しょうせんきょう)を訪れた時の出来事です。
本当は紅葉の昇仙峡を訪れたかったのですが、
友人達のスケジュールの都合がどうしても合わなかったので、
私達は紅葉シーズン前に行くことになりました。
それでも日本有数の景勝地だけあって、
その景色は見事なもので、
岩肌がむき出しになったところが顔に見えるとか、
バスの中からそれなりに景色を堪能していました。
ただ葉っぱの色が黄色っぽくなった木を見ては、
もう少しでもっと色づいた景色を見れたのに、
そう思ってしまいます。
その時の私は後ろの座席に座っていた
友人からガムをもらっていたのですが、
窓際に座っていたYが私の肩を叩いて、
この先にもう赤くなった所があるぞほらソコと指さします。
こんな時期にまさかと思いながらYが指差した方角を見ても、
空の青と木の緑の景色しか見えません。
「いやほらソコだって、ほら」
「え、あれ?ゴメン。見間違いだった」
Yが食い下がろうとしたら急に狐につままれたような顔になって、
自分が見た紅葉はガラスの反射を見間違えたのだろう、
そう言ってため息をつきます。
よくないものに魂が穢されたとき、
目に見える景色は血に染まって見える。
何で知ったのかは覚えていないのですが、
昔から頭に残っている言葉で、
この時のYの様子をみて真っ先に頭に浮かんだ言葉です。
私達が乗ったバスが走行していたグリーンラインでは、
昭和52年に昇仙峡バス転落事故が起きていて、
バスに乗っていた乗員・乗客がこの場所でさまよっていると言われています。
今でも時々、
この時Yが見た景色が光のイタズラだったのか、
血に染まった景色だったのか、
思い出して考えてしまいます。
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