〒999-6107 山形県最上郡最上町満澤 山刀伐峠

山刀伐峠(なたぎりとうげ)は『奥の細道』で
松尾芭蕉が歩いたことで知られる場所で、
その当時は山賊が旅人を襲うことがあったので、
芭蕉も護衛と一緒に歩いたと書き残しています。

そんな山刀伐トンネル近くに、
女性の幽霊が出ると本に取り上げられたことがあります。

トンネル近くの山中で首吊りをした老夫婦が、
首が千切れて遺体が道路に落ちてきたという話もあり、
トンネルの方が有名らしいのです。

芭蕉の時代にも山賊に襲われた犠牲者の幽霊が、
山刀伐峠で目撃
されています。

個人的には『歴史の道』と名付けられた山道を歩くことがあるので、
時期になると目撃されるクマの方が怖いと思っていました。

その時も私は歴史の道をひとりで登っていて、
途中まで登ったところで休憩をしていた時です。

ブナの木やヤブが生い茂る私の背後の山の中から、
ヤブをかき分けるザザッという音が聞こえてきて。

それが随分と近くから聞こえたものだから、
私はなにか獣が近くにいると思い背筋が凍りつきます。

できればそのまま何処かに行ってくれと思いながら、
座ったままじっとしていると、
音はこちらにまっすぐに近づいてきます。

音が聞こえた時にすぐ逃げた方が良かったのかもしれませんが、
突然の事に驚いていた私は、
近づいてくる音に怯えながらじっと固まっていました。

私の耳元で音がしているのかと思うくらいまで近づいた時に、
さっきまで聞こえた音が急に静かになり、
しばらく待ってもシーンとしたままで。

様子を確認するために、
私は藪の中に入ったのですが、
獣が近づいていた痕跡は見つけられませんでした。

樹木も生い茂っていてまっすぐに進むことが出来ないのに、
音は確かに真っ直ぐに近づいてきた事に恐ろしさを感じて、
私は急いで荷物を背負って下山しました。

この出来事があってから、
山に行くときのザックには、
用心のためにお守りを付けています。

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