長野県信濃町にある廃墟ホテル「セリーヌ」は、
廃ホテルになった後に描かれた、
幾つもの裸の妊婦のイラストから注目された場所です。

私達も含めて、異能の才能というべきイラスト目当てで、
この場所を訪れる人は少なくありません。

実際に壁に描かれた妊婦のイラストを見ると、
それに添えられた怪文書や雑な落書きの組み合わせもあり、
独自の世界を生んでいました。

この場所でレイプされて心が壊れた女性が自殺して、
強い恨みをセリーヌに向けたと言われています。

セリーヌが廃墟になった理由を、
私はそんなふうに聞いていたので、
異能が引き寄せ合って創りあげた空間というだけで、
私は何か起こるのではないかと不安でした。

この場所でホームレスと暴走族が出会ってしまい、
ホームレスが焼き殺されてしまったとも噂されています。

女性の恨みが異能の才能を呼んだり、
残酷な行動をさせてしまうのではないかと思えて来ます。

昼間に訪れた事もあり、
セリーヌはパッと見るだけでは古そうな建物という印象で、
いわれているような怖さを感じませんでした。

注意書きなのか落書きなのか、
セリーヌへの立ち入りを警告する文字に、
ビクビクしながら私達は建物へ入ります。

最初は固まって動いていた私達も、
この場所になれてくると、
それぞれバラバラに動くようになっていました。

そんなときに、
友人の悲鳴が聞こえてきます。

全員が集まってその部屋の壁を見ると、
赤茶色で人の手のような跡がついているのが見えます。

廃墟になった後に、
セリーヌでは何度も死体が見つかっている

そのうわさが頭をよぎり、
この手の跡を残した人の死体が、
何処かに隠されているかもしれない。

そんな風に考えた私達はセリーヌを飛び出します。

二階の窓から誰かに見られていた、
そういいだした子が泣き出して。

あの跡はなんなんだ、
なんでこんな所に行こうっていたのとか、
帰りの車内はとにかくパニック状態で。

たまりかねた運転手が、
うるさい黙れと大声をあげると、
全員押し黙ってしまいました。

私達のセリーヌ訪問は、
恐怖だけが残る結果になってしまいました。

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