群馬県の渡良瀬川と並んで走行する国道122号線を日光に向かうと、
本宿を過ぎたところに城下(しろおり)トンネルがあります。
国道122号線には足尾銅山があり、
逃げ出した鉱夫が力尽きたのが城下トンネルの辺だったそうで、
鉱夫の幽霊がさまよっているのか。
城下トンネルは短めのトンネルで、
見通しも悪くはは無いのに事故が多発していました。
事故の被害者を弔う供養塔をつくってからは、
不思議な事に事故はほとんど起こらなくなったそうです。
そのときの私達は、
日光へ行くために国道122号線を車で走っていました。
「こんな所を歩いている人がいるんだな、あぶないよな」
城下トンネルを抜けた辺りで、
Kがポツリとつぶやきます。
トンネルに入る前にKがスマホを触っていたので、
私たちは最初kが何か画像か動画でも見て、
独り言をいっているのかと思いました。
「いや、さっきのトンネルに女の人が歩いていただろ」
Kは城下トンネルの中で、
歩いている女性を追い越したというのですが、
私たちはトンネルを歩く人を見ていません。
自分だけに見えた人の姿に不安になったKはうつむいて、
自分を守るように手で両ヒジをおさえて
何も言えなくなってしまいます。
私たちはどすれば良いのか分からなくて、
とりあえず東照宮に守ってもらおうと
Kを励ますことしか出来ませんでした。
行き先がわからなくなっていたのか、
昔は車にしがみついたりして、
移動するものに取り付こうとする幽霊が出ていたと聞きます。
供養塔が幽霊の行き先を教えているのか、
最近ではときおり道に佇んでいる幽霊を見た
という話が多いということです。


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