東京都大田区の池上本門寺というお寺の近くに、
通称「首吊り坂」と呼ばれる坂があります。
本当の名前は、妙見坂というらしいのですが、
昔、坂の上の住宅地で首吊りがあったという噂があり、
人魂の目撃情報があったことから、「首吊り坂」
という名の心霊スポットとして知られているそうです。
首吊り坂の周辺は街灯がないため、夜になると真っ暗になるので、
以前から通りたくない道として、なんとなく避けていました。
一年ほど前、その坂の近くに住む、
友人の家に遊びに行ったときの話です。
友人宅からの帰り道、冬だったので、
まだ6時くらいなのに、外は真っ暗でした。
友人宅を出て、ひとり歩いているとき、
「あの首吊り坂だけは通りたくないな」という想いが、
頭をよぎったのですが、あまりこの近辺に来ないせいか、
少々道に迷い、つい首吊り坂の前に来てしまっていたんです。
私も大人なので、怖がってわざわざ来た道を引き返すのも、
ばかばかしいと思い、気にせず坂を歩きだした瞬間です。
突然、後ろから走って近づいてくる大きな足音が聞こえました。
驚いて振り返りました。
しかし、そこには誰もいませんでした。
スマートフォンの灯りをつけて、周辺を見回してみましたが、
どこにも人影は見当たりませんでした。
背中に強い寒気を感じ、そこからすぐに立ち去ろうと思いました。
足早に首吊り坂を抜けて、通行人も少しはいるところまで、
来た時にやっとほっとしたのですが、その日は、家に帰ってからも、
何だか誰かに見られているような気がして寝付けませんでした。
首吊り坂から
何か連れてきてしまったのかもしれません。
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