私は散歩が好きなのですが、
酔っ払ったおじさんに絡まれる事が続いていました。

気分を変えるために、
その日は自転車でいつも行かない方向へいくことにしました。

その日は天気もよくて、
用心棒としてカゴに入っている愛犬も気持ちよさそうです。

少し回り道をして帰ろうかなと思い、
進んだ道の先にあったのが、
検見川町検見川送信所(けみがわそうしんじょ)でした。

背の高い草に囲まれた道になったときは、
草原を走っているような気分で、
こんな所があったんだとちょっとワクワクしていました。

ちらりと建物らしき物が見えると、
こんな所に何があるのか気になりました。

そこにはすっかり角が丸くなった、
何かの施設を思わせる小さなビルが建っていたのですが、
窓が鉄の板で塞がれています

検見川送信所は放置されたというよりも、
念入りに封印されているように思いました。

抱っこしていた愛犬が建物に向かって吠えだしたのは、
私が建物をなんだか怖いなーと思い始めたときでした。

ノラ猫やノラ犬がいる様子もないし、
愛犬は吠えるのを止めようとはしないし、
その時の私は愛犬を抑えるのに必死でした。

いきなり建物の方から金属の板を叩いたような音が聞こえてきて、
私は皮膚の上だけをゾワリとした震えが走ると、
頭が真っ白になって動けなくなります。

建物から音が聞こえると、
吠えるのを止めた愛犬が落ちついてきます。

もぞもぞと動いた拍子に、
私のアゴに愛犬の頭突きが入ると、
私も動けるようになります。

まだ少し膝が震えていましたが、
何とか帰ることが出来ました。

後日、
戦争中は軍事施設として検見川送信所が使われていて、
そこで作業をしていた軍人の霊が出ると聞きました。

友人からその話を聞いた時には、
あの音を思い出して背中に寒気が走りました。

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