この道は誰も通らないから、
無理やり女の子を襲う事件が起きている。
そんなウワサはきいていましたが。
下仁田トンネルまでの道を自分が実際に通ると、
道幅が狭くて何もない、誰も使わない寂しい道路で、
下仁田トンネルで強姦殺人があったというウワサも、
事件が本当にあっても不思議では無いと思います。
停車する時に、
車の向きをすぐに逃げられるようにしてから、
トンネルに近づきました。
トンネルの入り口には『小坂坂トンネル』と書かれていて、
場所を間違えたのかと思ったら、
下仁田トンネルの方が通称だったようです。
トンネルの全長は100m程で、
肝試しがすぐに終わってしまう。
私たちは、
そんな軽口を言いながらトンネルに入りました。
入り口部分はレンガとコンクリの層に別れていて、
少し進むと凸凹した壁に変わるのですが、
この辺りで友人Hの様子がおかしくなります。
凸凹の壁を見た瞬間に、
なにかクラクラしてきて気持ちが悪いというのです。
ここで殺された女の霊を警戒して、
私たちはライトで辺りを照らしましたが、
異変は壁に見えませんでした。
Hも大丈夫だというので、
しばらくトンネルを進んだのですが、
Hは座り込んでしまいます。
私たちは肝試しを中止して、Hを抱えて車に戻ります。
Hは視界がどんどんゆがんで、
自分がまっすぐ歩いているのかが、
分からなくなったようです。
すぐにでも下仁田トンネルから離れたかったのですが、
グッタリとするHを狭い車内に押しこむわけにもいきません。
しばらく車の近くでHを介抱すると、
Hの容体も落ち着いてきました。
これ以上何もおきないうちに、
私たちは急いで下仁田トンネルを離れました。
知り合いが肝試しに下仁田トンネルへいくというので、
いくのを止めるつもりで私達の体験を話したのですが、
逆に面白がってしまい。
その知り合いは、
下仁田トンネル近くの溝で脱輪をしてしまいました。
下仁田トンネルは、
面白半分に行くところではない。
私がいえるのはそれだけです。
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