大久喜駅(青森)
森のなかの庭に並ぶ多様な彫像や立体物。
森を展示場にしたアートイベントのように見えるが、
ここは放置されたカローラ山荘(迦楼羅山荘)の庭。
森の別荘というべき姿のカローラ山荘だが、
屋根の下の蝶の大きなレリーフが、
普通の別荘とは違うことを表している。
精神病患者に理想の療養活動を行う治療院として、
某病院の医院長が作ったのがカローラ山荘だった。
療養活動の一環で美術品制作を行った為に、
カローラ山荘の敷地内には多くの作品が置かれている。
庭に置かれた患者の作品はよく出来ていて、
素人が制作したとは思えない。
友人Fに変な場所があると聞いて、
そこまで期待してなかったが。
カローラ山荘自体は窓もベニヤで塞がれていて、
中の様子をうかがうことは出来ないが、
彫像が散りばめられた奇妙な庭の、
想像を越えた景色に興奮が収まらない。
それぞれがカローラ山荘の庭を見て回っていると
背後で物音がする。
振り向くとFが尻もちをついて倒れていて、
そのまま這いつくばってこちらに近づいてくる。
何があったのか聞いても逃げようとしか言わないし、
Fの膝はガクガク震えていて立つことが出来ない。
私達はFを両脇から支えて、
Fを引きずりながらカローラ山荘を後にした。
しばらくして落ち着いたFから、
何が起きたのかを聞くことが出来た。
カローラ山荘では手に負えない患者を処理して、
広い敷地内に埋めているとウワサされている。
Fは女性の彫像の隣に立って同じ方向を見ようと、
横に並んだ彫像の視線を確かめると。
女性の彫像の視線はFを見ていたらしい。
カローラ山荘の庭に置かれた彫像には、
処理された患者の霊が隠れている。
そんな話を思い出し、
怖くて足に力が入らなくなったのだという。
そのまま全員で神社にお参りに行ったおかげか、
それからは何事も無く過ごしている。
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