北海道の別海町に茨散沼という自然豊かな場所があり、
私にとっては国道脇に車を止めて、愛犬と茨散沼まで
2kmの砂利道を歩くいつもの散歩道でした。

新緑の季節はとても気持ちよく、
歩き始めたときは晴天で両脇の木々に陽が差し込んでしました。

しかし、茨散沼を歩き始めて10分程度、気が付けば両脇の木々が
その砂利道を覆うかのごとく張り出し、
いつもよりもとても薄暗い感じがしました。

さっきまでとても明るかったのに、
この辺ってこんなに木が覆い茂っていたかな?と思っていたら、
の中から男性の声で「おーい、おーい」と呼ぶ声が。

時々茨散沼の森の中で森林組合の人達が仕事をしており、
立ち話することもあったのですが、その日はチェーンソーの音もしないし、
森林組合の人達の車もないのでおかしいなと思いつつ、
もう一度森に目を凝らすと、今度は反対側の森の中から
「おーい、おーい」と呼ぶ声がする。

犬もその声に反応するかのように右の森の、
左の森と方向に耳が動いている。

同じ男性の声なのだが、右の森、左の森の中からと
一瞬にして声のする場所が変わるのだ。

このあたりで明らかにおかしいと思い始め、
気が付けばいつもの道は更に薄暗く、
その先は霧がかかったようになっていました。

私は慌てて歩いてきた道を引き返したのですが、
私と犬のほか、後ろから誰かがついてくる足音がするのです。
ざざっざざっと砂利道の石を踏みつける足音が聞こえてくるのです。

怖くて走り出したいのに転んだらおしまいのような気がして、
早足で必死に歩きました。

犬は時々後ろを振り返るのですが、私にはその勇気はありませんでした。

やっと茨散沼を抜け、国道と自分の車が見える場所までたどり着くと、
不思議に後ろの足音は聞こえなくなっていました。

慌てて車に乗り込み時計を見ると、
あの声が聞こえるまで10分くらいしか歩いていないのに
2時間以上経っていました。

あの日以来、茨散沼へ行くのはやめました。

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