熱海市内からフェリーで2、30分ほどの初島には大きなホテルがあって、
そこでリゾートバイトをしていたことがある。

初島は離島で、猫が多く、日が暮れると狭く真っ暗で、
こまごまと並んで建つ小道どころか、家々にさえ人気がなくなる。
のんきに散歩などできる雰囲気ではない。

噂では、深夜帯になると日中道路わきを歩いていたはずの猫たちが
絶対にわきを歩かなくなり、みんな道路の中央を歩くようになるという話があった。
深夜帯の道のわきには落武者の霊がたくさん並んでいるからだという。

ホテルで深夜まで働くと寮までは距離もさほどないので
歩いて帰らねばならないが、霊感の弱い私でも、
身体中に汗がにじみ出るような霊気でいっぱいなのがわかった。

実はあまりに怖くてちょっと道わきを見てしまった時に、
何か影のようなものも普通に見えた。それぐらい強かった。

しかし、悪意のあるものではないので、体験をしに訪れる人も、
騒いだり茶化したりなどせず、どうか失礼のないふるまいで
その場に行ってほしいと思う。

もともと初島は歴史が古く、島流しの先としても使用されていたようだ。
海沿いの道で温泉場へ続く小道には、街灯もない。夏季シーズン中、
非番の日に温泉に入ろうと、夜7時頃に誤ってこの道に踏み込んでしまったのだが、
振り返ることもできないくらいの霊気があった。

温泉場までの道の先も、暗いままでたどり着ける気配がなかったので、
目をつぶって向き返り、引き返すも、相当恐ろしい霊気に囲まれ、
二度と来ないようにしようと思わされた。

日中確認できるが、その道のわきには石切が行われた岩や、
鉄砲の弾痕の残る切岩がある。

しかも、夏季は夜営業しているという触れ込みの温泉も、閉まっていたらしい。
定休日や閉館日は教えてもらいたいものである。

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