ある夏の夕方、私の運転する車で隣に友人を乗せ、
軽い気持ちで埼玉県と群馬県の境に位置する
下久保ダム肝試しに向かうことになりました。

正直、私は心霊スポットや怪談話が苦手な為、あまり乗り気ではありませんでした。
怖さと不安でとにかく友人との会話を絶やさないように必死だったのを覚えています。

しばらく車を走らせたところで、
ナビによると下久保ダムまで一本道(琴平橋)に差し掛かる手前の
コンビニで休憩を取ることにしました。

夏の夕方らしいオレンジ色の空に白い雲が浮かび、気持ちのいい空でした。
軽い休憩を取り再び車を走らせ向かうことに。

あんなに天気が良かったのに、いきなり空はどす黒く、
雲も灰色がかり、今まで見たことのない空の色でした。

一気に嫌な気がしてきましたが、
友人に怖がっている姿を見せたくなくて運転に集中していました。

下久保ダムへの琴平橋に差し掛かったところで、
いざ気をとりなおし友人に話しかけましたが、さっきまで会話をし、
しかもその内容も楽しくワイワイ話していたのに、急に眠ってしまっていました。

今まで隣に乗っていても眠ったことはなかったのに…

その瞬間、ハンドルを持つ私の両腕が尋常ではないくらい震えはじめ、
真っ直ぐ走ることができなくなりました。

このまま運転するのは危険だと思い、ブレーキをかけようとしましたが、
今度は両足も震え始め冷や汗も出てきて、気分がすごく悪くなりました。

やっとの思いで路肩に駐車し、そのまま引き返しました。
琴平橋を出た瞬間、隣の友人が目を覚ましました。

すぐさっきの出来事を話しましたが、眠ってたことも記憶になく、
眠くもなかったのになぜ眠ってしまったのかもわからないそうです。

私の震えもその時点ではおさまっていて、今でも不思議で仕方ありません。

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