これは、心霊愛好者のYさんから聞いた話です。

十数年前、Yさんは友人らと度々心霊スポットに行っていたものの、
心霊現象を体験することはほとんどなかったそうです。

そこで、山梨県南都留郡富士河口湖町から
南巨摩郡身延町にまたがって存在する、
本栖湖が山梨県の心霊スポットの一つでもある
という話を聞いたので、これまで、海や湖で
般若心経を唱えて幽霊を呼び出す方法は
やっていなかった
こともあり、
一人で本栖湖に行って般若心経を唱えて、
幽霊を呼び出してみよう
と思い立ち、
実践することにしたのだそうです。

今思えば、馬鹿なことをしたなと
Yさんは思うのだそうです。

般若心経を入手したYさんは、お盆休み中の夕方頃、
車で本栖湖まで行き、日が沈むまで待っていました。

暇つぶしに携帯電話でネットを見ていましたが、
携帯電話の充電が不十分であったこともあり、
日が沈み切って星も出てきた頃には、
携帯電話の電池が切れてしまったそうです。

その上、充電器の用意もしてなかったので
充電もできない状態になっていたとか。

携帯電話が使えないのは、
万一のときは不味いとは思っていましたが、
そろそろ頃合いだし、仕方がないと思ったYさんは、
ヘッドライト付きヘルメットをかぶり、
ウエストポーチに般若心経と電池が切れた携帯電話を入れて、
徒歩で本栖湖の岸辺に行くことにしたそうです。

心霊スポットに慣れているし、下見をしているとはいえ、
やはり道中の暗闇は不気味に思えたそうです。

岸辺につくとYさんは、
湖の岸辺で般若心経を唱えはじめた
そうです。

しばらく唱えていると不意に、空気が心なしかひんやりと、
それでいって重くなってきた
そうです。

そして、湖のほうから「何か」やって来るのが見えたそうです。

その「何か」は、どうも人が乗った船のようですが、
船は木製で、明かりもついていなかったのだそうです。

船に明かりがついておらず、ヘッドライトでは、
船にいる人の顔まで見えない距離にいるのですが、
どうもこちらを睨みつけているように感じたそうです。

幽霊かどうか確かめたいと思ったYさんは
船がこちらに来るまで待っておこうと思いましたが、
不意にウエストポーチから音がしたそうです。

携帯電話の鳴る音が。

待望の心霊現象とはいえ、
実際に我が身に起こると怖気づいてしまうもので、
Yさんは肝が冷えてしまい、
電池切れのはずの電話に出ることにしました。

電話からは、老婆のうめき声が聞こえたそうです。

ヤバイモノを感じたYさんは、
船がこちらに来るまで待つことなく、
足早に車に戻り、一目散で帰ったそうです。

みだりに幽霊を呼び出すのも考えモノです。

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