堺自然ふれあいの森は、
堺市南区の南部丘陵エリアの一角にあって
里山の自然の保全を目的に作られた公園です。

公園といっても、
ほとんどが見通しの悪い雑木林の中を進む山道で、
私は主に趣味のバードウォッチングのために訪れています。

夏のある日、私は午後から野鳥を探しに、
この堺自然ふれあいの森へ行ったのですが、
平日で、しかも天気が曇りがちだったせいか、
私以外の来訪者はいないようでした。

入口で施設管理の職員の人と挨拶した以外は、
山道を一時間以上歩き回っても、
誰とも会うことがありませんでした。

期待していた鳥の出現数もイマイチで
双眼鏡を持て余していました。

夕方になり、閉園時間も近づいたので帰ろうとし始めた時、
急に足が重くなるのを感じました

最初は足がつったのかと思ったのですが、痛みはない。
ただ足が重たくなり、動かしづらくなってきたのです。

耐えられずにとうとう立ち止まってしまいました。
何が起きているのか分からず焦っていた時でした。

前方の茂みの中を、
何やら白っぽい影が移動しているのが見えたのは……

最初は巡回中の職員の人かと思ってのですが、
それほど離れていないのにぼんやりとしすぎている。
動物とも明らかに異なる。

心霊現象なんて興味がなかったのに、
謎の現象を目の当たりにして、さすがにゾッとしました。

実はこの堺自然ふれあいの森
地図で見るとよく分かるのですが、
堺公園墓地という広大な墓地に隣接しているのです。

心霊スポットとしては申し分ない条件を兼ね備えています
そのことを思い起こし、ドッと汗が噴き出してくるのを感じました。

その白い影はゆっくりと目の前を通り過ぎるようにして
一分ほどで消え去りました。

同時に、それまで重たかった足が嘘のように軽くなり、
歩けるようになりました。

理解不能の状況に、私はパニック状態でした。
幽霊なんて信じていなかったのに、さすがに不気味すぎます

走るように山道を駆けて、管理棟の方へ向かい、
職員の人の姿を見てホッとしました。

今思えば、恐怖という感情に包まれていたのでしょう。
ただ、職員の人には何も告げることなく、ただ黙って帰りました。

その日以来、私は思い返すたびに、
あの現象を、何か科学的に説明できないかと、
懸命に考え、調べたりもしていますが、
いまだに答えにたどり着くことができていません。

幽霊なんて信じたくもないのですが……。

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