友人いわく、新潟県阿賀町を通る旧道国道49号線近く
東蒲原郡阿賀町黒岩には揚川隧道(あげかわずいどう)という、
現在では使われず、高いフェンスで出入り口を閉鎖された
廃トンネルがあるそうです。

友人が言うには、入り口・出口が急カーブになっている上に
片側一車線の道幅が狭いトンネルなので、
平成25年以前のまだ使われていた時代には
事故が多い危険なトンネルとして有名だった
そうです。

地元でも有名な心霊スポットで、
夜に訪れるとフェンスの向こうから呻き声や足音が聞こえる
という噂さえあるとのことです。

これはその話をした友人から聞いた話です。

友人が専門学校に在学していた頃、夏の思い出作りとして
友人の彼女とどこかに行こうということになりました。

友人が比較的近くの揚川隧道の廃トンネル
2人で肝試しに行こうと提案をしたところ、友人の彼女は同意したそうです。

揚川隧道には今まで何度か
夜に友人の知り合いといったことがある
ようですが、
不気味ではあるものの毎回特に何も起こらなかったそうです。

そこで、友人は揚川隧道が初めての彼女と雰囲気だけ味わって
吊り橋効果が作用すればいいなという浅い下心もあり、
軽い気持ちで彼女を誘ったそうです。

夜、友人と彼女は車で揚川隧道に行き、
車を「速度を落とせ」の看板の前に止めて車を降り、懐中電灯片手に、
手をつなぎながら閉鎖されたトンネルに2人で向かったそうです。

「通行止め」の看板や闇で出口が見えないトンネル
相変わらず不気味に思ったそうですが、これといって何も起こらず、
せっかくなので旧道を通ってトンネルの反対側を見ようと
車に戻ろうかと友人が思ったその矢先に、
何か聞こえない?」と友人の彼女が言ったそうです。

友人が耳をすますと(ぺた・・・)(ぺた・・・)(ぺた・・・)
真っ暗なトンネルの闇の中から、
裸足で歩いているような音が聞こえてきました。

その時、不意に友人の彼女が「誰かいるんですか?」と
大声でトンネルの向こうの誰かに話しかけたそうです。

(ぺた・・・)(ぺ・・・)(た・・・)

肝試しに来たの?

(た、た)(た、た、た)

相手は彼女の大声の問いに返事することもなく、
こちらに何かが裸足で走ってくるように思ったそうです。

冷や汗をかきながらも友人の彼女はなおも、
トンネルの向こうの何かに大声で問いかけました。

誰かいるなら返事してください?」

(た、た、た、た、た、た、た、た)

相手は全く友人の彼女に一言も返事を返さず、
ただこちらに一目散に走ってきているような音が聞こえたようです。

裸足で

これは何かヤバいと思った友人は、
半泣きの友人の彼女の手を引き、一目散に車に戻っていきました。

車の中に入り、エンジンをかけた矢先、

(ガシャーン!)

トンネルの入り口のフェンスに
何かが体当たりをしたような音
が闇に響きました。

フェンスはよじ登ってくると思い、
何かを確認することもなく、車を出しました。

これ以降、友人は友人の彼女と
揚川隧道に肝試しにいくことはなかったそうです。

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