迫りくる平家の軍勢を、
木曽義仲が奇策で打ち破ったくりから古戦場。
平家と源氏が戦った古戦場を展望台から眺めていると、
谷底の方から聞こえて来たのは、
呻きのようにも思える、寒気を感じるような乾いた音でした。
谷に吹く風にその音が掻き消えても、
目の前に広がる少しだけ赤くなった景色は、
さっきまでとは違う色に見えました。
平家と源氏の戦いがおこなわれた倶利伽羅峠(くりからとうげ)は、
小矢部市から石川県にまたがる峠で、
多くの武者が落下した谷は地獄谷、
死体の血や膿で穢れた川は膿川と、
古戦場でおこなわれた戦いの凄まじさは、
このあたりの地名に残るほどでした。
くりから古戦場は平家と源氏が陣を張って睨み合っていた場所で、
小矢部市役所のある石動駅のあたりから、
車だと20分ぐらいの場所にあります。
私たちが展望台に行ったときは、
展望台ができて間もないころでした。
私たちは展望台があることを知らなかったのですが、
たまたま知り合った、くりから古戦場によく来るというおじさんに、
少し歩いた場所に展望台があることを教えてもらえました。
それで展望台から地獄谷を見ていると、
谷の方から気味の悪い音が聞こえ、
私たちのあとからやってきたおじさんにも、
その音は聞こえていました。
それであの音は何だったのかを聞いたのですが、
くりから古戦場によく来るおじさんも、
その音は初めて聞く音だといいます。
倶利伽羅峠を中心にして、
怪奇現象を体験する人は多く、
心霊スポットとしても有名で、地獄谷を流れる膿川は、
武者の呻きが聞こえるともいわれています。
くりから古戦場は小矢部市の観光スポットなのですが、
この場所に訪れるのなら、
武者の無念には注意をしておいたほうがいいのかもしれません。
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