骸骨山(ガイコツ山)。
その山の名前を聞いたときには、
沖縄の方言で何か意味があるのかと考えたのですが、
文字通り骨のことを指すガイコツのことでした。
名護市勝山にある山の一つがガイコツ山と呼ばれていているのは、
山中におびただしい数のガイコツが散乱していたからなのだそうです。
沖縄へは観光旅行で行ったので、ガイコツ山がどんな山か、
その様子を見るだけのつもりでした。
山からは人のうめき声とも、
獣の唸り声ともつかない声がきこえる。
そんなふうに囁かれる、
おびただしい死が集まっていたガイコツ山を目の前にして、
好奇心が抑えられるはずもありませんでした。
私たちは少しだけのつもりで、
ガイコツ山に入っていきました。
道が一応はあったのは嬉しい誤算で、
南国らしい珍しい植物の中、道に沿って山を進むと、
緑の中に黄色や赤紫といった鮮やかな花の色彩が入るのが印象に残っています。
足元の踏み固められた土もだんだんと細くなって、
けっこう森の奥に進んだなと感じ始めていると、
友人が道から少し外れたあたりに大きな骨の欠片を見つけました。
ベージュがかったそれの断面は、
火葬場で見たことのある骨のそれで、
ここが人間の世界とは違う場所なのだということを、
私達は実感することになりました。
旅先での冒険もそこで終わりで、
その場で私たちは来た道を引き返しはじめたのですが、
20分ほど歩いても足元の道は細いままで、
道を戻っているようにまったく感じられません。
一本道を歩いていたはずなのに、
どこかで道を外れたのか。
スマホのGPSをみても、
そもそもこの場所の道がわからないので、
自分たちの大まかな位置しかわかりません。
それでも頼りはスマホのGPSだけなので、
スマホの指示に従って山を降りる方向に進み。
来るときに見た、
強い色彩の花の所まで戻ってきて、
やっと安心することができました。
ただでさえ自然の中は危険と隣り合わせなのに、
いわくつきの場所に気軽に行こうなんて、
軽率な行動をしたことに後悔するしかありません。
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