秋田と盛岡をつなぐ仙岩トンネル(国道46号線)がこえるのは、
田沢湖西の奥羽山脈、
秋田と岩手の県境にまたがる仙岩峠です。

江戸時代には、
このあたりのどこを県境にするかで秋田と岩手が争い、
戊辰戦争の際には、利便性の高さから近くに陣が敷かれる、
交通に重要な場所でした。

仙岩トンネル以前に使われた旧道は、
車社会を象徴する近代的な舗装路として戦後に整備されたのですが、
開通からたったの数年で新しい道路が計画されるほど、
仙岩峠の環境は厳しいものでした。

旧道は一年の多くが、
雪に埋もれるか雨で崩れた土砂に埋もれてしまい、
道路としての役割が果たせなかったといいます。

通行止めにならなくても、
とくに秋田側は傾斜とつづらおりのひどい山道で、
事故も少なくはなかったようです。

交通の難所をバイパスする仙岩トンネル開通後、
道路事情は大きく改善し、
秋田と盛岡という両県の中心部を結ぶ道路として、
とても利用しやすくなったのだそうです。

そんな仙岩トンネルを利用して、
Nさんとその家族が盛岡へ向かっているときの話です。

父親が運転する車で仙岩峠を走っていると、
Nさんの妹が崖に立っていた人が消えたのを見たのだそうです。

カーブを曲がって見通しが開けた進行方向の先、
崖側にはられたフェンスの向こう側には、
着古したデニムのような服を着た人が立っていらしいのです。

Nさんたちが乗った車から逃げるように、
崖に消えたように見えたのですが、
進行方向をしっかりと見ていた父親や、
他の家族は誰もその姿を見ていませんでした。

仙岩トンネルが開通した後
旧道は送電線などの整備用に利用されていますが、
旧道のトンネルが崩落するなど、
災害などに悩まされているようでした。

仙岩トンネル
にしても、
2015年には走行中の車両が壁に激突する事故を起こし、
2012年に行われた調査では、
天井を支える金具に崩落につながる異常が見つかっています。

Nさんの話を知っているだけに、
仙岩峠を通る道に事故や災害が多過ぎる気がして、
そこに特別な理由があるように感じてしまいます。

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