山口県と島根県の県境をまたぐ峡谷に架かる橋で、
西日本で最も大きな橋が深谷大橋(ふかたにおおはし)です。

私は当時付き合っていた彼女とドライブで訪れたのですが、
私はこういう高いところが苦手で、
足取りは重く、あまり下の方を見ないようにして歩いていました。

確かに景色を楽しむのには邪魔ですが、
深谷大橋は手すりの他にフェンスでしっかりと守られていて、
私はそれがありがたいと思っていました。

そうやって橋の上をあるいていると、
彼女に仕事の連絡が入ったらしく、
彼女はちょっとまっててと言いながら
私と反対を向いてスマホと話はじめます。

休みの日まで大変だなと思いながら、
私は空の方に視線を動かすとポンと肩を叩かれて、
早いなと思って彼女を見るとまだ向こうを向いて話をしています。

高いところが怖いと思っているからかなと思いながら、
電話の終わった彼女に聞いても肩なんて叩いてないって言われるしで、
それで早く落ち着けるところに行こうと深谷公園がある島根側まで早足で歩きました。

ひとりで悩まないで

そこで目に入ったのが、
自殺を止めるように訴えている看板で、
深谷大橋がどうしてフェンスで守られていたのか、
私の肩を誰が叩いたのかがわかりました。

あんた幽霊に呼ばれたんじゃないん

そう彼女は冗談で言うのですが、
実際に肩を叩かれたこちらは気分がよくありません。

深谷大橋は日本で三番目に自殺が多い場所らしく、
成仏できないままの幽霊が私の肩をたたいたのだと思うと、
本当にゾッとしてしまいます。

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