最初にその声が聞こえてきた時は猫がいるのかと思い、
見えるわけは無いって思いながら、
なんとなく声が聞こえて来た方を見ました。
そうしたら猫は見えませんが、
森の中をうろつく人の姿があるのに気がついて、
すぐにこれはヤバイと思いました。
こっちは夜釣りでヘッドライトをしていて、
向こうからは何処にいるかはっきりとわかりますが、
こっちからは人がいる程度しかわかりません。
今冷静に考えたらすぐにライトを消して、
道具なんかも放りだして逃げればよかったって思いつくのですが、
その時は心底ビビって頭が真っ白になっていました。
そのうえ膝が勝手にガクガク動いていて、
その場から逃げるなんて、
這って進むしか出来ない状態でした。
こっちが森をうろついていた人の姿をただじっと見ていたら、
それは移動するのをやめてモゾモゾとし始めます。
多分こっちに興味をもったんだって思ったのですが、
こっちはどうすることもできません。
心臓が頭のなかにあるんじゃないかってくらい大きな音で、
ドクンドクンって悲鳴のようにうごいてて、
額からはどんどん汗が出てきて。
それでそのまま意識を失って、
気がついたときには人の姿は消えていました。
倒れた時に地面にぶつけて頭は痛いし、
軽い脱水を起こして体はだるかったですが、
とにかく急いで道具を片付けてそこから逃げました。
甲山森林公園内にある五ヶ池で、
釣りが禁止される以前の出来事なのですが、
釣りをしていると何かしら気配を感じることがあった、
そういう知り合いもひとりふたりではありません。
五ヶ池で何かが起きたということではないようですが、
この周囲では猟奇事件などがおきていて、
そういう事が影響しているのかもしれません。
以前はバス釣りで賑わいボートまででていたのですが、
釣りは禁止されてしまい、
今は立ち入り禁止になっている場所もあるようです。
だんだん人が近づけないようになっているのを知ると、
私が見た人影は意識を失う前の夢や幻ではなかったのでしょう。
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