これは私が学生時代のことです。
その頃の私は全国的な都市伝説『口裂け女』を調べていて、
夏休みを利用して岐阜を訪れていました。
岐阜には『口裂け女』が生まれた場所と言われる場所があり、
旧中央本線の13号トンネルはそのひとつでした。
13号トンネルは、
岐阜の多治見から愛知を繋いだ旧線にある、
10kmの間にトンネルが14もある愛岐トンネル群のひとつです。
近くには幼稚園があり、
足を伸ばせば中学校や小学校もある場所で、
心を病んだ女性がうろついていたのを子供達が目撃し、
そこから『口裂け女』の伝説が日本中に広がったと言われています。
これはウワサなのですが、
心を病んだ女性が子供達を襲った、
そのような話もありました。
廃棄されたまま放置されているとはいえ、
13号トンネルの入り口はフェンスで塞がれていて、
中に入るこは出来ませんでした。
資料として13号トンネルの写真を何枚か撮影してから、
フェンスの隙間から中の様子をうかがっていると、
私の背中を左肩から右腰にかけて何かに撫でられたのです。
はじめは肩に掛けていたショルダーバッグのストラップが、
意図せずに体に触ったのかと思いましたが、
フェンスを覗きこむためにバッグは後ろに回していたので、
私の背中に触るものは何もないはずです。
愛岐トンネル群を造るのは難しい工事だったらしく、
何十名の犠牲者が出たという事も知っていたので、
私の背中を撫でた物に嫌な物を感じて、
私は急いで13号トンネルから離れました。
また、愛岐トンネル群が作られた当初、
特に13号トンネルあたりのトンネルでは、
身投げが相次いで起きたそうです。
『口裂け女』も偶然この場所にいたのではなく、
精神の均衡が崩れていたために、
引き寄せられてしまったのかもしれません。
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