群馬県下仁田町から富岡市を流れる
鏑川(かぶらがわ)に架かる
不通橋(とおらずはし)では、
自殺した人の霊がでると言われています。
橋の高さは数十メートルというところで、
岩がむき出しになった川岸や岩壁は、
橋から落ちたらただでは済まないことが想像出来ます。
これは友人数名と不通橋に肝試しに訪れた時の心霊体験談です。
近くにあった「山に入らないで下さい」
という看板がやたらと錆びついていて、
手に持ったライトで照らされた時には、
赤い錆がとても気味の悪いものに感じられました。
橋の上からゆっくりとライトを動かしながら下の様子をうかがうと、
うすぼんやりと下の様子が見えるせいで、
岩場の殺風景さが強調されて、
まるであの世を覗き込んでいるみたいだと私達は言っていました。
「あ!戻って戻って。さっき何か見えなかった」
切り立った岩壁の方から橋の方にライトの光を動かして、
光がそろそろ橋の下辺りにきた辺りで、
友人のひとりが声を上げました。
何かを見たという辺りを中心に、
円を書くようにライトを動かしますが、
その何かの姿を見つけることは出来ませんでした。
「このライトじゃあはっきりとは見えないし、
岩の影かなんかがそう見えたんだって」
「岩の影よりも、もっと濃くてはっきりしたのが見えたんだって。
人か動物かは分からないけど、岩の上に確かに何かがいたんだ」
何かを見たと言った友人は納得はしませんでしたが、
私達は見間違えたんだろうということで納得して、
不通橋を後にしました。
後日、橋から車に戻るあいだに後ろから物音が聞こえてきた事を、
別の友人が教えてくれました。
自分以外は誰も物音に気がついていないし、
直前の何かを見た騒ぎもあったので、
どうせ勘違いだろうし、
今度はおまえかよと言われるのも嫌だったので、
その時は黙っていたそうです。
友人が見たり聞いたりしたのが
幽霊と関係があるとはっきりと言えませんが、
幽霊がウワサされる場所で奇妙な出来事が起きたことだけは確かです。
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