茨城県東茨城郡大洗町港中央
父は仕事で、墓石関連の仕事に就ているため
まれに霊を連れて帰ることがあります。
私はそういうものが見えるのですが、
父は見ることや感じることはないそうです。
しかし、そんな父にも大洗の海では見えてしまったようでした。
ことの発端は、父の趣味である釣りでした。
父はよく、車で千葉県や茨城県などに行き
船に乗って海で魚を釣ることが好きでした。
釣った魚は家で刺身にしたり、フライにしたりして
おいしく食べることもできるためだそうです。
父は、朝早くに出る釣り船に乗るため深夜に家を出ました。
その移動の道中のことです。
父は知らなかったようなのですが、
調べてみると、大洗海岸というのはその名の通り、
波が荒い海で、溺れてなくなった人がたくさんいるらしく、
心霊スポットとしても知られているようです。
そして、父の車は大洗海岸の近くまで来ました。
そのまま車を走らせていると、
道の路肩に白い服を着た女性が立っていたそうです。
なんだ、こんな時間に。
不気味だなぁ、と思いそのまま車を走らせました。
しかし、ふと気がつくと何故か女性を見た道と
同じ道を通っていたそうです。
同じところをぐるぐると何度も通っていて、
父はおかしいと思い一旦車を路肩に停めます。
父は何度もここに来ていたため、道に迷うはずはないのです。
少し考えた後、父は再び車を走らせました。
すると、車はさっきの道から抜けて海岸の前まで着きました。
しかし海岸の前で車はいきなり重たくなり、
何か巻き込んだのかと車を降りることにしました。
何度も見ても、車は異常ありません。
変だな、と車に戻りました。
そのとき、妙に海が静かなことに気がつきました。
波の音一つありません。
思わず海岸をじっと見つめました。
すると、よく見ると海の一部分だけが
バシャバシャと水しぶきをたてていることに気がつきます。
しかし音や声はしません。
じっと目を凝らすと、水面から手が伸びています。
そしてどうやら、それは岸へ岸へと近付いてきているようです。
水しぶきの正体を確かめるべく、父はじっと見つめました。
すると、水しぶきは岸へ上がると姿を消してしまいました。
あれっ?そう思った途端、
助手席側の窓をコンコンとノックされたそうです。
振り向くと、白い服の髪の長い女性ががあり得ないほど
口角を上げてにぃーっと笑ってこう言ったそうです。
「どうして助けてくれなかったの?」
無我夢中で車を走らせました。
しかし女は着いてきます。
気味の悪い高笑いと共にやってきます。
サイドミラーにはあの女の顔が写っていました。
とにかく無我夢中で車を走らせて、海岸から離れたそうです。
これが父が初めて経験した、心霊体験です。
2018年6月13日 at 10:03 PM
今から5年以上前になると思います。当時付き合っていた彼と大洗の花火大会へ行ったときのことです。私達は駐車場渋滞に巻き込まれながらも、やっと指定された駐車場に車を停めることができました。現地混雑を予測してわりと早く家を出たため、花火大会の会場に到着したのは開催2時間前でした。夜は蒸し暑さを考えて、冷たい飲み物を買い込み、急いで砂浜へ向かって場所取りをすることにしました。花火大会は決して大きなものではなかったのか、都内の有名な花火大会と比較するとかなり場所取りは楽で、私達は余裕で砂浜にシートを広げることができました。開始までまた一時間近くあったので、夕暮れの海をぼんやりと眺めほどよい海風を楽しむこともできました。やがて時間が近づくにつれ人も多くなり、賑わってきましたが観客達が触れ合うほどのこともなく、かなりゆとりのある見学ができました。花火大会もいよいよあと5分で開始される、と思ってワクワクしていたその時です。私は花火大会にはあまりにも不釣り合いな姿を発見しました。“ん? あれ、子供だよね?”遠くからまだ3歳か4歳くらいの男の子がこっちに向かって小走りでやってきたのです。まぁ、小走りでやって来ただけなら違和感はなかったのですが……●そんな小さな子供がたった一人で砂浜を走っている。●花火大会の砂浜なのに、なぜか浮き輪を胸元につけている。この2点がとても不思議な光景に映ったのです。しかも花火大会は19時過ぎから開始されるため、浮き輪をつけているということがそもそもおかしいのでは?と思った私は、隣でビールを飲み始めた彼に「ねぇねぇ、あの子、あんな小さいのに一人で砂浜走ってるよー。しかも浮き輪をつけてるの。なんだろーね」私がその方向を指で知らせると彼もそちらを見てくれました。が「えっ? 子供? 浮き輪をしてる? どこ?」彼には見つけられなかったようで、私はだんだん近づいてくる子供を小さく指でもう一度示しながら「なんでわかんないの? すぐそこまで来てるじゃん」と言いました。でも彼は「子供なんていないじゃん。どこにいるの」そう言ってまったく気づいてくれません。やがて子供は私達の目の前を通過したので、私は彼を見ながら「やだ! 今目の前を通過してあっちに……えっ!?」と言いながら子供が立ち去った方向を見たら、今まで走っていた子供が忽然と姿を消したのです。「えっ、えっ、えーっ!?」驚く私に彼は「子供なんて目の前を通ってないし、どこにもいないし…………」そう言ったあと彼は私をマジマジと見つめ、少しの沈黙のあと「まーさーかー……もしかして……また何か見てはいけないものを見た?」「………………」私は沈黙をして子供が立ち去った方向をもう一度見てみました。だけどやはり子供の姿はどこにもなく、気になったので彼にはその場で待っていてもらい、子供が消えた場所まで行ってみました。きっと家族と合流したのだろう、と思いたかったのです。しかし子供が消えた場所にいたのは、まだ若いカップルばかりで子供を連れてくるような家族はいませんでした。あの子供が何者だったのかは……今でもわかりません。