池の中に浮島が浮いていて、
それを守るようにまわりの木が池の上に伸びているのを見た時に、
神秘的ってこういうことなのかと感じたのが
乙和池(おとわいけ)でした。

新潟佐渡の山奥にある指定文化財で、
大佐渡スカイラインにある小さな看板を目印に、
森に入って行くのですが、
最初は看板に気がつかずに通りすぎてしまい、
文化財なんだからもっと目立つようにして欲しいと思っていました。

緑豊かな森、簡素な鳥居、
ブナに守られながら静かに佇んでいる乙和池

その景色を見た後だと、
この場所は人が簡単に訪れては行けない場所
神聖な場所なのがよくわかります。

私がまわりの景色を眺めていると、
浮島の方から何かが池に落ちた音が聞こえたのですが、
池に落ちるようなものは何処にもありませんでした

今の音は何だと思って浮島をみていたのですが、
こんな状況だというのに、
不思議と怖いという気持ちはありませんでした。

乙和池には言い伝えがあり、
池の近くの村に『おとわ』という女性が住んでいて、
池の主である蛇に、おとわが次の主に選ばれます。

迎えに来た蛇と一緒におとわが山に入ると、
山は霧に包まれ、七日の後に大雨が降り、
村の住人が山に行くと浮島が出来ていたそうです。

この言い伝えのように、
池の主になったおとわが、
私を品定めしていたのかもしれませんが、
音が聞こえた以外は何もおこってはいません。

おとわが池の主になった7月23日には毎年、
乙和池まつり』が乙和池で行われています。