私の兄は野外での作業をしているのですが、
嵐山展望台の近くで仕事をして、
帰ろうとした時には日が暮れようとしていました。

薄暗い道を車で走っていると、
藪の奥で手持ちライトの光が動いているのが見えます。

道と呼べそうな隙間のない、
藪に覆われた樹林の奥ということもあり。

兄は「危ないから注意した方が」と考えましたが、
それこそこんな時間に藪の奥にいる連中と関わりたくなかった兄は、
そのまま帰ったそうです。

その話を友人Kにしたところ、
「『嵐山の消える廃墟』へ行こうとしている人のライトだとすると、
嵐山の消える廃墟の手がかりかもしれない」と言い出します。

嵐山の消える廃墟』は、
別れた後にストーカーになった男に皆殺しにされた、
女とその家族が住んでいた家で、「幽霊屋敷」とも
呼ばれています。

その廃墟が今も残っているはずなのに、
その場所へ行くことが出来ない、
幻のような廃墟
の事だそうです。

兄もそういう話が嫌いでは無いので、
廃墟を探すのは日中の二時間だけという条件で、
兄とKの二人で消える廃墟を探すことになります。

結局、幻の廃墟を見つけることは出来なかったのですが。

兄は仕事柄、道のない野外を歩く事があるので、
目印用のテープ等の藪漕ぎに必要な道具は揃っています。

この探索でも、
いつもの様に目印用のテープを使っていたのですが、
途中のテープが千切れ落ちていて、
帰る道を見失しなってしまった
そうです。

兄も次の目印が消えていた時は焦ったそうですが、
長年の経験でトラブルを乗り越えたそうです。

消えた目印の場所に落ちていた目印用のテープを見た時には、
他の誰かがいるのかと思いましたが、
人の痕跡もなく物音も聞こえません。

これが霊の仕業だとしたら、
目印のテープが落ちたあたりを中心に探せば、
幻の廃墟を見つけられたかもしれませんが。

帰り道を見失うことの恐怖を体験したKは、
これ以上幻の廃墟に関わりたくなかったそうです。

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