中学の修学旅行で長崎に行った最終日に、
平和公園から駅まで移動していた時に起きた出来事です。
A君がトイレに行きたいと言って、
バスは近くのトイレがある場所に着いたのですが、
トイレに行ったA君がなかなか帰って来ません。
すぐに帰って来るだろう、そう思っていたのに、
気がつけば20分以上は過ぎていました。
様子がおかしいということに気がついて、
バスの中はだんだんと静かになっていきます。
それから10分ほどすると、
A君に付き添っていた先生だけが走って帰って来て。
バスの入り口に着くと、
大きな声で「大変です、H先生来てください」と、
バスに残っていたH先生と一緒にトイレに走ります。
もちろんバスの中はざわついて、
先生達が走って行った方向に、皆が注目をしています。
先生達に両肩を支えられるようにして戻って来たA君は、
上着を脱がされていて、遠くから分かるくらいに
シャツがぐっしょりと濡れていました。
それからA君は救急車で運ばれたのですが、
入院が必要な緊急事態ではなく、
A君はその日の遅い新幹線で帰って来たそうです。
A君に話を聞くと、
トイレをしたいとは違う感じがして、
トイレの中で気を失っていたそうです。
平和公園にいる時からなんとなく頭がポーッとしてきて、
記念撮影をした後にバスに歩いていると、
お腹が押さえつけられているような感じが始まって。
バスに乗ってしばらくしてからは、
トイレをしたいともお腹が鳴るのとは違う、
お腹の中を何かが動いているそんな感じが強くなって行き。
様子が普段と違うけど、
トイレをしたいのかと思って、
トイレに行きたいと言ったそうです。
便器に座ったけど、
踏ん張っても何も出ないし、
だんだんお腹が苦しくなってきます。
だんだん頭もぼやけて来て、
外から先生に声をかけられても、
短い返事をするのがやっとで。
額から流れる汗が目に入って、自分の体を触って見ると、
激しい運動をした後のように汗が吹き出ていて。
トイレの鍵を開けて先生に助けを求めようと思っても、
体も動かすことができなくなっていて、
声も出すことが出来なくなっていました。
その後はろくに覚えていなくて、
気がついたらH先生に抱えられていたそうです。
平和公園は、
長崎に落とされた原爆の爆心近くに作られた公園で、
原爆で死んだ人が写真に写ると言われている場所です。
A君の体に起きた出来事は、
原爆で死んだ人の苦しみが原因、
そんな風に思えて仕方がありません。
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