JR東日本信越本線の群馬県横川駅から、
廃線になった旧上り本線を遊歩道として利用したアプトの道を通って、
旧熊ノ平駅へ友人たちと旅行をした時の話です。
アプトの道は、
当時の列車を動かしていた仕組みがアプト方式だったので、
アプト方式の列車が通っていた道でアプトの道というそうです。
旅行で浮かれていた私たちは、
歌えもしない『スタンド・バイ・ミー』を口ずさみながら、
映画の少年たちになりきって歩きます。
ただこの路線は勾配がきつくて、
歌う余裕はすぐに失くなってしまいます。
その昔、急勾配が原因で旧熊ノ平駅で列車事後が起こり、
最終的に4人の人が亡くなっています。
それから時をへて旧熊ノ平駅に天災が降りかかります。
悪天候で土砂崩れがおこり、
今度は死者50人の大惨事です。
話だけは調べていたのですが、
そんなこともあったんだと思う位で、
あまり気にしていませんでした。
幾つもトンネルを通り過ぎて辿り着いた
終点の旧熊ノ平駅手前のトンネルでTが
なにか声がしなかった?と聞いてきます。
その後も、
Hのスマホで写真を取ろうとしたらカメラボタンが反応しないとか、
妙なことが続きます。
私は事故や災害の話を思い出しますが、
幽霊なんて気のせいだと心の中でつぶやくと、
写真を見ていたTが「ちょっとこれ」と画面を指さします。
「ほらここが目で、こんな感じで輪郭が見えない?」
「ここなんて人影みたいに見えるし」
Tにいわれて画面を見ると、
確かに顔や人影に見えます。
その後はなんだか微妙な雰囲気の旅になって、
予定を切り上げて帰ることになります。
私は幽霊なんてそんなまさかと思いたかったのですが、
やっぱり災害や事故のあった場所には幽霊がいるのだと思いました。
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