〒999-7464 山形県鶴岡市由良2丁目

私は貧血持ちなので、
立ちくらみや耳鳴りがたまにある。

今までに気絶した事は2回あるが、
気絶する時は身体を守るように倒れたりはしない。

身体を守る事は、
意識がハッキリとしているから出来る行動だ。

気絶する様子を見ていた人に聞いたら、
ゴンと音を立てて壁に倒れて地面に崩れ落ちたそうだ。

意識がハッキリしない、
そんな時にバランスを崩すと大怪我になりかねない。

私が白山島(はくさんじま)へ観光に行った時に、
風と波の音が消えて耳鳴りがはじまった。

いつもならすぐにおさまるのに、
いつもと違うオォという音がどんどん大きくなっていった。

気絶する前の様子とも違っていたけど、
意識を失って地面に頭をぶつけるのが一番最悪なので、
早めにその場に座り込む。

実は山形県鶴岡市由良にある白山島
3000年前の火山活動で生まれた島で、
日本海を一望する展望と自殺のスポットで知られている。

日本海に面した断崖絶壁では、
何人も自殺者がいるという話だ。

白山島の頂上には日本海軍の慰霊碑もあり、
2000人余の犠牲者への言葉がそこには刻まれている。

観光客や家族が訪れるような場所だが、
いわくのある場所でもあるようだ。

鳴り止まない音に朦朧としていると、
後ろから肩を叩かれる。

「……丈夫ですか」

白山島に観光に来ていた人が、
遊歩道に座り込んでいる私を気にして声をかけていたようだ。

肩を叩かれた瞬間、
聞こえていた音が消えて、
意識もハッキリとしていた。

「あ、すいません。急に立ちくらみがして」

ただの貧血でしばらくしたら治るということにして、
声をかけてくれた人に先に行ってもらった。

遊歩道のロープの向こう側に落ちたら、
傾斜のある岩肌で大怪我するし。

ロープを超えなくても、
舗装された道に頭をぶつけていたら無事ではすまない。

いつもの耳鳴りと違う音は、
仲間を呼ぶ自殺者達の声だったのだろうか。

私は貧血持ちだからすぐに座り込んだが。

普通の人が朦朧としたまま、
それでも動き続けていたらと考えるとゾッとしてしまう。

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