幼くして亡くなった少女お菊が、
生前とても大切にしていた人形。
その人形はお菊の死後、
北海道岩見沢市の萬念寺に預けられて大切に保管されていた。
萬念寺の住職が倉庫の掃除のために人形を取り出すと、
人形を包んでいた紙から黒い繊維がはみ出していた。
保管していた人形の髪が伸びて、
包み紙からはみ出していたのだ。
そのことが週刊誌で取り上げられ、
生きている人形「お菊」として有名になる。
心霊に興味がない人でも、
名前を聞いたことがある有名な話だが、
この由来には脚色や創作が多く含まれている事が判明している。
お菊人形がどこから来たのか、
今となっては調べようもない。
だからといって、
お菊人形が普通の人形だと私は思っていない。
この人形は萬念寺に預けなければならない、
それだけの理由がある人形だと私は信じている。
インターネットが始まったばかりのころ、
お菊人形は誰でも見ることが出来る怪奇現象だった。
オカルト同好会の仲間5人でお菊人形に会いにいった時の話だ。
お菊人形は年代を感じさせたが、
イキイキとした顔をしていて、
本当によく出来た人形だと私は感心していた。
お菊人形を眺めていると、
ときおりお菊人形と目が合うような気がして落ち着かなかった。
萬念寺からの帰りに仲間たちがそれぞれの感想を口にする。
「ずっとこっちを見て笑っていた」
「何処から見てもそっぽを向かれた」
「ずっと遠くを見ながら微笑んでいた」
私達 5人はこの時に、
お菊人形が生きていると確信した。
以前は定期的に髪を揃えていたが、
今は髪はほとんど伸びていないらしい。
萬念寺に持ち込まれた理由も解決しつつあるのかもしれない。
コメントを残す