千葉県鴨川市(旧天津小湊町)山道から
国道128号線に出る日蓮寺近くでのことです。

ここは昔から、曲がりくねった細い道で危険なので
注意して運転するように言われている場所です。

もう20年以上も前のことです。

まだ、岩高山(ねんねこ坂)を抜ける道に、
何故かぽつんと誰が使うのかわからない電話ボックスがありました。

幽霊の目撃談はここで多く、有名な怪談の語り部である
稲川淳二さんもここ(ねんねこ坂)の電話ボックスに関する
心霊体験談を話しているのを聞いて、
自分の見たものはやはり幽霊だったのかと、思うようになりました。

それは、私の就職が決まって鴨川市(当時はまだ天津小湊町)の実家から
就職先の近くのアパートに家具を運びこんだ帰り道のことでした。

父の友人の運転する引越しトラックに母と乗り込み、
茂原で夕飯をみんなで食べたあと、遅くなってしまったから、
道がくねくねして車酔いするかもしれないけど、
岩高山の方の道でもいいかと、父の友人が提案してきました。

疲れていたので、早く帰りたいからそれでいいと言ってトラックに乗り込みました。
トラックの運転席は広くて運転手・母・私と三人座ってもゆったりしていました。

私は車酔いしやすいので、窓を開けて空気が吸えるように端に座っていました。
真っ暗な中を走っていましたが、母と父の友人のおしゃべりが楽しくて
あまり怖さを感じなかったその時、目の前に見えた電話ボックスに白い服の女性がいました。

「こんな夜中に電話ボックスに女の人がいる」二人に話しかけましたが、
二人には見えていないのか、「いないよ」と言われてしまいました。
でもそれまで楽しそうに話していた二人の会話が止まりました。

家について、母からあそこで見たことは誰にも言わないほうがいい、
疲れていただけだと思うからと言われました。

千葉県内で就職したので、ねんねこ坂での目撃情報は多いと聞いて
自分の見たものはそうだったんだと思うようになりました。

今は、あの電話ボックスはありません。