私は毎晩、犬の散歩でパイナガマビーチのあたりを
ぐるっと一周するのですが、ある日の晩、
ビーチ前を通り過ぎ、遊歩道へ向かおうとしていました。

その時道路沿いにあるホテルへ何気なく目を向けると、
2階の部屋の窓の外に女の人が立っているのが見えました。

このホテルには、バルコニーらしき物はあるものの、
人一人が立つのがやっと、という狭さです。

家族旅行のお父さんが、
たばこを吸いに出てきていることもありますが、
それもごくまれなことです。

なんとなく気になって、その女性を観察してみましたが、
たばこを吸っている様子もなく、ひたすら部屋の中に向かって
おいでおいでをするように、手を振っています。

「間違えて、締め出されちゃったのかな?」を思いながら、
犬の歩みとともにホテルに近づいていきましたが
聞こえるはずの女の人の声が聞こえません。

しかし、女の人は手を振りながら、
中に向かって何かを言っているのが口の動きでわかります。

「まあ、大きな声を出したら恥ずかしいのかもしれないし」
と考えましたが、何かしっくりこない感じがします。

そこで横を歩いていた娘に
「あの人、あんなとこで何してるのかな?」と
女の人を指さして聞いてみると

「なにいってるの?」
そう言われて、娘に目を向けると、怪訝な顔をしています。

「なにって?ほら、あの2階の窓のところにいる人」
「・・・誰もいないけど」

そんなはずはないと、娘からホテルに目を戻すと、
ついさっきまで女の人が立ていたところには誰の姿もありません。
もちろん、窓の内側にも人の気配は一切ありません。

「変だなあ」と首をかしげる私に、娘がぽつりと。
「ここ出るので有名だし」

その一言で、私も納得。

現在パイナガマビーチ近辺は、遊歩道が完備され公園として整備されつつあり、
観光客や、地元の住民がバーベキューなどに訪れる憩いの場ですが。

一昔前は、火葬場があり、かなり昔にさかのぼると、
姥捨て山だったとの言い伝えがあり、
心霊スポットとも言われている場所でもあります。

ホテルに隣接した土地は、宅地として分譲中されていますが、
整地されてから、5年以上になっても買い手がつかず
今では雑草が生い茂った荒地です。

近隣のお店やマンションも、頻繁に出るらしく、
地元のユタや、神社の方がお祓いにみえているそうです。

またこのホテルも、数年前にキャンプ中のプロ野球選手が
飛び降り自殺をしたことでも有名なので。

もしかしたら、あの女の人に呼ばれてしまったのかもしれませんね。

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