あれは私がまだ学生の頃、同級生の男女5人グループでよく集まり、
ことあるごとに肝試しツアーと称してドライブに出かけていました。

広島県内の心霊スポットと言われるところはほとんど回っていましたが、
気味悪いという程度で心霊体験はなく、ドライブが目的となっていました。

ある日、呉市にある野呂山にある登山道に
首なしライダーが出る」という話を聞き、
みんなで確かめようと友人の車で出かけました。

家からは1時間程度の道のり。
道もよく、何の心配も現象もなく登山道へつきました。

片側一車線の舗装され、街路樹がせいびされた立派な登山道、
頂上には遊園地跡(十何年前に閉園?現在はない)や展望公園、
噴水など整備されています。

街灯もあるので、「よし、いこう」と元気に発進しました。

噂では「登りの中腹あたりで後ろにライトが一つあらわれ、
近づき、追い越す。

追い越される時、ライダーが左手を挙げてくれるのだが、
そのライダーには首がない」というものです。

ゆっくり発進、夜景もきれいな為カップルもよくドライブに訪れます。
対向車も後続車もいましたので、安心して進んでいました。

登山道なので当然道はカーブが多くあり、
何か所か道端にお地蔵さんとお花が生けてあるところもありましたが、
後続車が一台いたので気にせず頂上につきました。

「なんだ、がっかりだね」「トイレ行ってかえろうよ」の言葉で公衆トイレへ。
さすがに人はいません。車は2台。私たちは女の子3人、男の子2人。

何かあってはいけないので、私と女の子1人を車に残し、
3人はトイレへ行きました。

10分ほどして、私たちの残っている車の後ろから突然
「ピカッ、ピカッ」と二度パッシング。

「うん?なに?」振り返っても暗くてよく見えません。
「やばい、絡まれる?」そう思い、女の子と身をひそめました。

「外の3人は大丈夫?」女の子が心配そうに言ったことで、
面倒なことにならなきゃいいがと思いながら3人を待っていました。

それから10分、静かな車内で二人身を伏せていたので
外の状況がよくわからないまま待っていると、
3人が楽しげに帰ってきました。

そして私たちをみて「なに、二人でいちゃついてんの?」と
からかうではありませんか。私たちは事情を話しました。

するとトイレに行った女の子の一人が、それやばいよ。トイレの壁に
お待ちしていました。2回パッシングが合図です。やっと行けますね。ありがとう。

というメッセージと登山道のあるポイントが図示してあったとのことでした。
2回パッシング・・・帰ってきた3人に聞くとトイレに行く時も
帰ってきた時も後ろには車はいないというのです。

ええええっ?どうする?行くの?

怖かったのですがもう一度みんなでトイレの図とメッセージを見に行きました。
確かに友人の彼女の言う通りです。

「行くしかないでしょ!」もう一人の女の子の掛け声に
男の私と友人は圧倒され行くことになりました。

図をメモり、大体このあたりというとこで車にハザードをつけおりで
図示された場所を探しました。

カーブの入り口、ガードレールの向こうは急な斜面です。
ありました・・・

バイクのおもちゃとお花、お線香・・・
二人のお名前が書かれたキーホルダー・・・

5人とも涙がでていました。誰も何も言いませんが、
なんとなく状況は理解できているようでした。

もしものために積んでいたロウソクと線香を手向け、帰路につきました。

みんな言葉がありませんでした。
でも、みんなどこか温かいもの感じてました。

パッシングは確かにされました。
なにがそこにあったのか、居たのか、知ろうとは思いません。

一緒にパッシングされた女の子が今のお嫁さんだったりします。

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