〒937-0866 富山県魚津市本町1丁目10−39
学生の頃の話です。
私は富山県魚津の短大に通っていました。
学校は山奥にありましたので、自動車の免許をとって、
先輩から譲り受けた中古の自動車で通っていました。
当時、学生の遊びと言えば、飲み会かドライブでした。
私も千波に連れられてほぼ連日のようにドライブにかり出されました。
行き先はもちろん心霊スポットです。
地元の心霊スポットは網羅したと思います。
しかし一つだけ先輩から聞いても、そのおおざっぱな情報のため、
しっくり来ないスポットがありました。
それが魚津城跡です。今はインターネットで調べればすぐにわかるでしょうが、
当時は目に見えるものしか手がかりがありません。
だいたいこの辺に城があって、たくさん人が死んだらしいよ、
とまでしかわかりませんでした。
ある日のことです。私は寝坊しました。
試験のために昨夜遅くまで勉強していたのです。
時計を見ると、もう試験が始まっています。
私は急いで車のエンジンをかけました。
山道を上がって行き、そういえばこの辺が魚津城跡だったなぁ、と考えた時でした。
急にハンドルがロックして、タイヤが猛烈にスピンしました。
そこは緩い峠の曲がり角で、カーブに沿って石垣が並んでいました。
私はブレーキをかけることしかできず、やがて石垣に突っ込みました。
検問をしていたお巡りさんが偶然近くにいたのですぐに駆けつけてくれました。
「だいじょうぶか!」
と言われましたが、放心状態で、何も答えられませんでした。
降りて車を見ると、ボンネットが潰れて半分の長さになっていました。
それでも試験の事が気がかりで、レッカー移動の手続きを澄ませたら学校に急ぎました。
ですが試験はもう終了しており、残念なことに単位を落としてしまいました。
後から先輩に聞いたところ、まさに私の車が激突した所が魚津城の跡地で、
過去に激しい戦いが繰り広げられ大勢の兵士が亡くなったということでした。
車も廃車にしてしまい、レッカー代や、
その他諸々出費がかさみましたが、霊のせいにしても何も解決しません。
バイトを一つ増やしてとにかく借金を減らすように働きました。
それから一年が経ち、私は新しい中古の車をローンで買いました。
悠々と一人で旅をしたり、北海道の実家にマイカーで帰省したり、大学生活を満喫していました。
しかし、またやってしまったのです。
バイトに行く途中でした。山奥の温泉旅館で週に一度の割りの良いバイトがあったのです。
そこに行くにはあの魚津城跡を通らなければいけないのでした。
過去に事故を起こしたと言っても、通い慣れた道なので、
しかも注意して運転していましたから、私の運転に落ち度があるとは思えません。
しかし、また同じ場所でハンドルがロックしました。悪夢です。
今度は石垣ではなく電柱に正面から衝突しました。廃車でした。
私は呪われてしまったのでしょうか。ローンが残った車がまたしても一瞬でおじゃんです。
その後、またバイトを増やして、あくせく働きました。
卒業してから一度も訪れていないのですが、
どんなことがあってもそこで車の運転はしないと決めています。
みなさんも運転には充分にお気をつけください。
そこが特に曰くつきの土地ならば……。
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