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金沢市の笠舞には、
百人一首に名前を残す歌人を祀った神社があります。

笠が風に飛ばされたとき、
その様子が風と舞っているように見えたことから、
そのあたりは舞笠と呼ばれるようになり。

その時の様子を唄にした歌人が、
百人一首にもその名前がある猿丸太夫です。

猿丸太夫が住んでいたとされる場所に建てられたのが猿丸神社で、
昭和49年まで境内にあったスギの老木が切られるまで、
呪いの呪法がおこなわれていたことで知られています。

丑の刻参りの呪法は、
ワラで作った人形を境内の樹木に対して、
憎しみを込めた釘で打ち込む呪法です。

この呪法をおこなうにはスギの木が必要なのですが、
猿丸神社にあったスギの老木が切られたことで、
呪法をおこなう人はいなくなったようです。

1000年をこえる金沢最古の神社の境内には、
ケヤキを中心にとても大きな老木がいくつもあり、
ゆっくりと育っている幼いスギの成長を見守っています。

1000年近くも生きている老木は、
根本のあたりなど岩のようで、
その過ごした年月を思うと、
簡単には近づけない空気を感じてしまいます。

この木が一人では抱えられないような太さになるまで、
どれだけの時間がかかったのだろう。

手のひらがドクンドクンと木が脈打つのを感じたのは、
境内にあるある木に手を添えながら、
そんなことを考えていたときでした。

呪いの呪法をおこなう人はいなくなりましたが、
それだけ強い恨みや憎しみは、
木を切ってきれいさっぱりと消えるようなものなのでしょうか。

境内には、
スギの老木だった根の部分が残っています

猿丸神社に感じる近づきにくい空気は、
そんな強い気持ちがまだ残っているからなのかもしれません。

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