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仙台市と山形市を結ぶ国道286号線の、
奥羽山脈をこえる峠道を笹谷峠といいます。

平安時代から山形への最短距離として利用された歴史の古い道で、
当時の道は登山道として今も利用されています。

国道といっても車がすれ違うのがやっとの、
ジグザグに曲がりくねった峠道です。

山形に住む親戚のところへ行くときには、
ほぼ直線の笹谷トンネルを使うのですが、
私が幼い頃の記憶には、
何度か笹谷峠を通った記憶が残っています。

父にしてみれば笹谷峠のほうが体になじんでいたのですが、
笹谷峠で幽霊を見たことがきっかけで、
笹谷トンネルを使うようになったのだそうです。

それは父がひとりで山形の親戚を
訪ねたときのことだったそうです。

見通しの悪いカーブを曲がると、
山側に生えた植物に隠れるような感じで、
道端に男の人が立っていた、というのです。

突然のことに父は驚いたのですが、
登山道で道に迷った人かもしれないと、
急いで車をとめて戻ろうとしたのですが、
振り返るとそこに人の姿はなかったのだそうです。

山側は切り立った崖になっていて、
簡単に昇り降りできるような場所ではなく、
男の人が立っていた場所を見ると、
人が昇り降りしたような跡はどこにもなかった
そうです。

笹谷峠は、昔から鬼が住むといわれる場所で、
舗装された道路が整備されてからも、
カーブを曲がりきれずに事故死した幽霊や、
奇妙な現象が起こるといわれ、
そういった話が途切れることのない場所です。

そういう話を耳にしても気に留めていなかった父も、
すれ違いざまに見た男の不気味な視線には肝を冷やしたようで、
それからは笹谷峠を避けるようになったそうです。

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