〒684-0211 島根県隠岐郡西ノ島町浦郷

島根出身の友人に誘われて、
私たちが国賀海岸の摩天崖を訪れた時の話です。

国賀海岸は西之島の北西部の断崖絶壁が続く海岸で、
摩天崖は国内最高峰の崖という場所です。

私たちは国賀海岸で放牧されている馬の近くを通りながら、
遊歩道を摩天崖へ歩いていました。

普段から抜けたところのあるKが、
牧草の上を歩いていたら、
牧草に足を滑らせて背中からころんでしまったのです。

一昨日だかに降ったという雨のせいか、
起き上がったKの背中はシミや牧草などで汚れがついていて、
私はふくらはぎについたシミを見ながら、
なんだか手のひらみたいだなと思っていました。

Kも誰かに引っ張られたみたいに、
足が動くのが止められなかったと言うのですから、
背中のシミや汚れもKを引っ張っていた手の痕のように見えてしまいます。

ここまでは、
いつものようにKがやらかしたという話なのですが。。。

Kの発言から、
島根出身の友人が子供の頃に聞いた話を思い出します。

摩天崖のあたりでは、
年に一度は絶壁から身を投げる人がいる場所で、
崖の際から下をのぞいていると、
飛び降りた人たちの手に引きずり落とされる
のだというのです。

改めてKの背中を見てもシミや汚れはだいぶ落ちていて、
シミや汚れが人の手に見えるのかは、
確認することはできませんでした。

確かにKはどこか抜けていましたが、
怪我とは縁遠い奴だったのですが、
旅行から帰ってすぐにKから捻挫をしたと連絡がありました。

捻挫をしたのがシミが手のひらのように見えた方の足だと聞くと、
摩天崖でKがころんだときのシミも、
そんな風に見えただけではないかもしれない、
と思えてしかたがありません。

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