出水市にある東光山公園は、
出水市街を一望できる山に作られた公園で、
遊具も多く家族連れが訪れる公園なのですが、
自殺が多い場所としても知られています。
そんな東光山公園の展望台から
夜景を見ていたときの話です。
風の音でも動物の音でもない、
はっきりと人の叫び声とわかる、
「アー」という叫び声が山の中から聞こえてきました。
「夜になんで人がいるんだ、しかも山の中だぞ」
「ヤンキーならバイクの音が聞こえるはずだ」
「こんな場所に酔っぱらいなんているはずないだろ」
自分たちが聞いた叫び声に、
納得できる理由を探していると、
山の中の声が「オゥ」と叫んだと思ったら、
今度は早口でわめき出しました。
その声は最初の叫び声よりも、
私たちの近くから聞こえていました。
そもそも、
夜の山の中でわめくようなのが、
まともなわけがありません。
声は駐車場の方向から近づいていて、
この場所にじっとしていたら、
厄介なことになるのは確実でした。
私たちが車に向かって走り出すと同時に、
声はわめくのをやめたのです。
気色の悪いわめき声でしたが、
声がなくなると相手の位置が全くわからず、
不安だけが掻き立てられてしまいます。
私の耳元で、
「ア~」と楽しそうな声が聞こえたのは、
車に乗り込む直前のことでした。
あたりに誰も居ないことを確認して、
ドアロックをした車は東光山公園から離れて行きます。
誰もいないという友人の言葉に、
耳元で聞こえた声が蘇り、
胸が締め付けらているような気分になりました。
春になれば、
公園中に植えられた桜がキレイなのですが、
私は東光山公園へ行く気にはなれません。
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