六方沢橋は日光の瀬尾にある切り立った谷に架けられた橋で、
紅葉の時期はもちろん季節ごとに表情を変える景色を楽しめる
スポットです。

友人からそんな六方沢橋で景色を楽しんだという話を、
友人撮影の写真を見ながら聞いていたときです。

友人が何かを思い出して六方沢橋を検索すると、
霧に覆われた六方沢橋の写真が表示されたそうです。

観光案内のサイトでは見栄えのいい写真を使っているのですが、
条件さえ合えば谷は霧に包まれてしまい、
景色どころか数メータ先も霧に閉ざされてしまいます。

霧に包まれた景色なんてあんまり気味のいいものではないですが、
これはこれで自然の一場面には違いはなかったそうです。

一応写真撮影が趣味ということもあって、
自然には不気味な一面があることに惹かれて、
私は下見も兼ねて六方沢橋を訪れました。

事前に六方沢橋を調べていたら、
六方沢橋が飛び降り自殺のスポットと言われていることを知ったのですが、
この時は幽霊だとかは信じていませんでした。

実際に六方沢橋へ行くと転落防止というにはあまりに物々しい、
鉄格子という言葉がピッタリなフェンスが設置されていました。

安全対策で仕方がないとはいえ、
こう厳重だと景観が悪くてなってしまって、
よっぽど頑張らないとイマイチな写真しか撮れないな、
そんな風にガッカリするのと同時に。ここまで厳重にするということは、
自殺や事故が多かったんだろうなと思うと、
足元に置かれたビールの缶も供養のように見えてきます。

私は実家を出て一人暮らしで、
たまに実家の母親から来るメールでやり取りをするくらいなのですが、
六方沢橋からの帰り道に実家から電話がかかってきました

電話をかけてくるなんて何かあったのかと思い、
慌てて電話に出たのですが、
電話をかけてきた父親が言うには、
私が実家に電話をかけて来たんだろというのです。

履歴を見ても発信した記録はないので、
間違って電話をかけたとかそういうことではありません。

私の実家に電話がかかって来た時間は、
ちょうど私が六方沢橋で写真を撮影していた時間で、
ちょうど両親は外出していたのですが、
留守電には十秒ほど無音が残されていたそうです。

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