水界トンネルは国道399号線にあるトンネルで、
トンネル近くの旧道を進むと、
封鎖された旧水界トンネルにたどりつきます。

少し昔にはトンネル内に入ることが出来ていたようですが、
私が見た時には大きな黒い土のう?が積み上げられていました。

旧水界トンネルはは1886年に竣工した県内最古のトンネルで、
県内の交通に関する貴重な遺産という面がありますが、
後ろ暗い一面も持ちあわせています。

工事中に死んだ労働者を、
トンネルに埋めて隠した

それもどうやら一人二人ではないらしく、
トンネルの壁から無数の手が伸びてくると囁かれていて、
人が入るのを防ぐには大げさな封印を見ると、
恐ろしい物を閉じ込めているようにも見えます。

私がそう思うのも、
旧水界トンネルに訪れた時の出来事があるからです。

私は友人数名と旧水界トンネルに訪れたのですが、
トンネル入り口は塞がれているので、
少しでも中の様子をうかがおうと1人が土のうに耳をあてると、
私を含めた数人がそれに続きます。

もちろん音が聞こえると思っていませんが、
それでも少しがっかりしながら土のうから離れると、
友人の1人が耳をつけたまま土のうを叩いていました。

「どした、土のうなんか叩いて」

「いや、なんか音が聞こえたから、
誰かが土のうにあたった音かなと思って確かめたんだけど、
ぜんぜん違う音でさ」

「おまえらも聞いたろ、なんか物を叩いたような感じの音

音が聞こえたのはその1人だけで、
私も他の友人達もそんな音を聞いていません。

急に目の前の黒い塊が気味悪く見えてきて、
トンネル中に入ることも出来ないしもう帰ろうかと話していると、
別の友人がトンネルの方から冷たい空気が来たと言い出します。

ヤバイだとかマジかよと言いながら、
徒歩20分の距離を走って車を停めた旧道入り口に辿り着いた時には、
全員が一歩も動けないぐらいにぐったりとなっていました。

閉じ込めると言うのは大げさなのかもしれませんが、
トンネルの封鎖が妙に念入りなのは、
やはりそれなりのワケがあるからではないでしょうか。